どれくらい相場を読むのが個人投資家にちょうどいいのか
それでは個人投資家の場合、どれくらい相場を読むのがちょうどいいところでしょうか。あるいは適度な相場の読み方に対応した投資方法はどんなものでしょうか。(↑実は、相場の読み方と投資方法は本来、セットで考えるべきです)
まず、リアルタイムトレードを行わないことを前提とした投資方法を選べば、「相場を読む」負担が大きく軽減されます。当たり前ですが、リアルタイムに情報収集を行い投資判断を行う必要がなくなるからです。「相場を読む」のうち、今目の前で動いている部分の情報を切り捨ててしまおうというわけです。
中長期的に伸びしろがある、と思えるものについてのみ投資をすれば、短期的な値動きに追い回されずにすみます(もちろん自分が中長期的に成長すると思う対象を選べばいいのであって、日本がダメだと思う人に日本株式を買えとは言いません)。
次に、個別の銘柄選びのような情報収集を切り捨ててみます。個別銘柄の善し悪しや買い時かどうか考えることこそが投資の神髄だと思っている人からすれば驚きかもしれませんが、ごく普通の個人投資家がこの点において相場を読み、プロも含めた市場参加者の中で勝ち抜いていけるでしょうか? もしかすると、ムダな時間をただ費やすことになるかもしれません。
投資家は自信過剰な人ばかりなので、この点について「自分は平均以下です」と答えられる人は少ないのですが、普通に考えれば専業のトレーダーより知識が乏しく、専業のトレーダーより費やす時間も少ないのであれば、「相場を読む」レベルで差がつくのではないでしょうか?
この場合、独力の銘柄選びを諦め、投資信託を活用することが考えられます。これなら「投資信託の運用方針」と「投資対象(日本株、具体的にはTOPIX)」のみを情報収集、分析すればよくなります。
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投資の当たり前、と思っていることをひっくり返してみると、投資の新しいアプローチが見つかるかもしれません。今回は「相場を読む」を疑ってみました。
実は、今まで世の中に流布している投資のやり方は、「会社員兼個人投資家」を前提としてないものがたくさんあります。「相場を読む」ということにどれだけのリソースを注ぎ込むべきか、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか?
(おまけ)相場より読みやすいものはしっかり予想しておく
ところで、相場より読みやすいものがありますが、個人投資家の多くはこれを読もうとしていないようです。例えば、「自分の労働価値(定年までにいくらぐらい稼げるか)」「自分の貯蓄率と貯蓄見込み(定年までにいくら貯められるか)」「自分の親からの相続財産の見込み」「自分の年金・退職金の受取見込み」「今後の出費予測(特に子どもの教育費)」のほうが読みやすいですし、堅実にアップすることも取り組みやすいものです。
「相場を読む」前に、いろんな数字を「読む」時間を割いてみるのもいいかもしれません。