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犬との暮らし、暑い時期に気をつけたいこと(2ページ目)

今年も暑い夏がやってきました。人間だって参ってしまう夏。犬たちにしてみればなおさらです。この時期だからこそ気をつけたいこともありますので、今一度、日々の生活をチェックしてみましょう。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

環境

室内犬でエアコンを使用している場合は冷やし過ぎに注意を。人間同様、室内と外気温との差があり過ぎると自律神経に異常をきたしてしまうことがありますし、すでに関節系にトラブルを抱えているコの場合には、冷え過ぎにより症状が悪化してしまうことがあります。これは冷却マットや大理石のような石を使う場合も同じです。冷え過ぎたと感じたら、自分で他の場所に移動できるようなスペースも用意しておいてあげましょう。夏場、犬が快適に過ごせる気温は、おおむね25℃くらいと言われています。

ご存知のように冷たい空気は暖かい空気に比べて重いため下にたまりますから、エアコンの送風口を下向きにしてしまうと冷たい空気と暖かい空気との層ができてしまいます。ですので、エアコンの送風口を水平もしくは上向きにし、さらには扇風機で冷たい空気を撹拌するのがベスト。つまりは、部屋全体を冷やすということ。風をつくることによって多少高い温度設定であっても充分涼しさを感じることができます。ちなみに、エアコンの送風量を強くするほうが、温度設定を低くするより電気代もお得なんだとか。

エアコン使用で怖いのは、留守番をさせる場合、停電などで電気が止まってしまうというアクシデントもありえることです。そうなれば熱中症の危険も。実は、熱中症は外だけでなるとは限りません。実際には家の中で熱中症になることもあります。電気が止まってしまった時にはどうするか、その対策なども考えておきたいものです。

外飼いのコの場合は木やよしずを使って直射日光があたらない場所に犬舎を置く、地熱が伝わらないよう犬舎と地面との間に隙間を設ける、打ち水をする、風の通りをよくする、冷却マットを使うなど少しでも快適に過ごせるように工夫をしてみてください。犬は暑さが苦手ですが、より苦手なのが湿気。外で除湿機を使うのは無理でしょうが、その分、風の通り道を考えてあげましょう。

なお、夏場に意外に多いのが迷子です。花火や雷の音に驚いて、家の隙間から逃げ出してしまい、迷子になってしまうというケースがあります。暑くなると窓やドアを開け放すことも多くなりますが、何かのきっかけで外に出てしまわないようフェンスを置くなどの対策もお忘れなく。

被毛

良質なシャンプーを選びたい

被毛には体を保護する役目もあるので、サマーカットも適度に。

暑くなってくると愛犬をサマーカットにするオーナーさんも多いですが、被毛を短くカットするということには弊害もあるのだということを知っておくべきでしょう。犬の皮膚というのは人間のものに比べてずっとデリケートにできています。皮膚というのは体の部位によって厚さには少しずつ違いがありますが、人間の皮膚は表皮から真皮までを合わせて1.5~4mm程度とされるのに対して、犬はその3分の1~5分の1程度の薄さしかないのです。

その皮膚を暑さ寒さや紫外線、傷、虫刺されなどの外部の刺激から守ったり、断熱・保温の役割を果たしているのが被毛なのです。極端に短くカットする、地肌が見えるほどに丸刈り状態にしてしまうということは、そういった外部からの刺激から体を守れなくなるということでもありますので、カットするにしてもその度合いには気配りが必要でしょう。ガイドとしては、カットするよりも毛を梳いてあげることのほうをお勧めします。

また、毎年サマーカットを繰り返すことで被毛の伸びが悪くなるということもあります。これは実際にあった例ですが、年をおうごとに冬に必要な被毛が充分に揃わなくなり、寒がるのでセーターを着せるようになったという話。本来、身を守るべき被毛というものをもちながら、それをダメにしてしまうというのはもったいないことです。被毛は育てるものであるとガイドは考えています。

その他、犬種や毛質、個体によってはカットすることで毛の質や色が変わるということもあります。経験上、シェットランド・シープドッグやポメラニアンなどダブルコートをもつ犬種にはそれが目立つように思います。

それから、夏というとシャンプーも気になるところですが、ガイドの考え方としては何週間に1回、何日に1回という決まりきったようなものではなく、汚れたと感じたら洗うという少々アバウトな考え方をもっています。ちなみに、健康状態が良好である犬の場合は、皮膚のターンオーバーはだいたい20日~25日くらいのサイクルになりますが、皮膚になんらかのトラブルを抱えた犬の場合は5日~10日程度とそのサイクルが短くなってしまいます。ターンオーバーとは、皮膚の再生のこと。表皮では常に細胞分裂が盛んに行われており、表皮の一番深くに存在する基底層から新しい皮膚の素が生まれて、徐々にと表面にある角質層まで成長し、古い角質は剥がれ落ちて皮膚の再生を行っているのです。こうして皮膚のバリア効果が保たれているというわけです。

以前からシャンプーのし過ぎは皮膚にとって大事な皮脂腺を奪ってしまうのでよくないという話がありましたが、犬のシャンプーも研究開発が進み、皮脂腺をなるべく奪い取らないよう、より皮膚にマイルドな商品も増えてきました。ですので、以前ほどシャンプーする回数に対して神経質にこだわらなくてもいい環境にはなってきているようですが、いっぽうで、ブラッシングやタオル拭きなど他の方法で清潔に保ちながらターンオーバーのサイクルを考慮してシャンプーをするという考え方もあります(注:皮膚病で治療しているコの場合は、より回数を多くシャンプーすることを動物病院から指導されることがあります)。

なにより、シャンプーをした際は暑いから自然乾燥で大丈夫だろうと思いがちですが、特にダブルコートのコの場合はアンダーコートが乾ききらず、そこから皮膚に炎症を起こしたりするようなこともありますので、ちゃんと乾いたかどうかは確認しましょう。

続いて、健康管理について。
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