健康管理(フィラリア、ノミ、ダニ)

旅先の環境も事前にチェックを

愛犬とよく旅行やドライブをするようなら、ノミ・ダニ予防はよりしっかりと。

フィラリア予防やノミ・ダニ予防はお済みでしょうか。うっかり忘れたということがありませんように。

ノミが関係する病気としてはノミアレルギー性皮膚炎、貧血、瓜実条虫(さなだ虫)、細菌などの二次感染などがあり、ダニが関係する病気としてはバベシア症(マダニ/フタトゲチマダニ、ヤマトマダニ、ツリガネチマダニなど)、ライム病(シュルチェマダニ)、ヘモバルトネラ症(クリイロコイタマダニ)、アトピー性皮膚炎(ダニおよびダニの排泄物や死骸など)、疥癬症(ヒゼンダニ)、アカラス[=毛包虫症、ニキビダニ症](ニキビダニ=毛包虫)、ツメダニ症(ツメダニ)、貧血などがあります。

バベシア症はマダニに吸血されることでバベシア原虫が犬の体内に入り、赤血球に寄生することによって赤血球をどんどん破壊してしまい、極度の貧血症状が出るという病気です。そのために元気消失、食欲不振からはじまり、口の中や粘膜にチアノーゼが見られる、発熱、尿の色が濃くなる(血が混じったような色)、重症では黄疸が見られる、などの症状がでてきます。時には死に至ることも。以前は近畿地方から南の西南地域に多く見られた病気でしたが、近年では関東以北の地域でも発生が確認されています。2006年度に29の都道府県において犬から1007検体の血清を集めて調査した結果では、130頭(12.9%)が抗体陽性を示し、地域としては栃木・茨城・埼玉・千葉・東京・神奈川の関東地方、上越地方の新潟、静岡・山梨の中部地方、宮城・福島の東北地方、そして北海道でも認められたそうです(*3)。

バベシア症の発生地域が拡大しているとするならば、一つには愛犬を連れて旅行やドライブなどに出かける人たちが増えたという環境の変化を原因として挙げることができるでしょう。特にバベシア症の発生が見られる自然豊かな場所に出かける際には、そういう病気もあるのだということを念頭に入れ、ダニ予防対策はお忘れないように。

健康管理(熱中症)

先にも述べたように、熱中症は屋外だけでなるとは限りません。冷房対策がなされていない閉め切った室内、車の中などお気をつけください。JAFが2006年度に行った車内温度のテストによると、曇り時々晴れの天候で外気温が30.4℃、湿度が62%の条件下で、車内温度は42.9℃、ダッシュボードが52.3℃を記録。外気温が33.6度、湿度が49%になると車内温度は51.7℃、ダッシュボードは68.5℃、エアコンを使用しても車内温度は37.6℃になったそうです。外気温の差は3.2℃であっても車内温度には8.8℃の差が出るということになります(*4)。買い物中ちょっとくらいと思うのは禁物。車内は地獄の暑さになるのだということは忘れてはいけません。

熱中症というと夏に起こるとばかり思いがちですが、実は春先から秋になりかけの季節にも注意は必要です。犬が熱中症になりやすくなるとされるのは気温22℃、湿度60%くらいから。熱中症の症状としては、以下のようなものがあります。

・呼吸の仕方が浅くて速く、緊迫しているような状態になる。
・口からヨダレを垂らしたり、泡を吹いたりしている。
・ぐったりしている。
・痙攣が見られる(呼吸が緊迫すると過呼吸状態になり、血液中のpHが変化することから痙攣やてんかんのような発作を起こすこともある)。
・体温の上昇。

このような症状が見られた場合には、

・ 少しでも早く涼しい場所へ移動させる。
・体に水をかける、風呂桶やタライなどの水の中につける、濡らしたバスタオルで体を包む、扇風機を使う、エアコンをつける、アイスノンや水で濡らしたタオルなどで脇の下や内股、首の周り(頚動脈のあたり)を冷やすなど、とにかく体温を下げるように努める。しかし、体表の血管が収縮して体の奥の熱を逃しきれないこともあるため、冷やし過ぎにも注意を。体温が39度以下にならないように気をつける。
・水が飲めるようなら与えてもいいが、呼吸が緊迫していると誤飲することもあるので一気には飲ませないように。スポーツドリンクにはナトリウムが含まれており、体が水分を吸収しやすくなるので、それを与えるのもいい。
・そのままできるだけ早く動物病院へ。特に、体温が41度以上ある場合には危険な状態なので、すぐに病院へ連れて行き、治療を受ける。

などの対処を。

健康管理(愛犬の普段の健康状態を記録)

何か異常があった時、愛犬の普段の健康状態を把握および記録しておくことは治療の役に立つことがあります。普段の愛犬の体温や心拍数などをチェックしておきましょう。

参考までに、犬の平均的な体温は38度~39度、呼吸数は20回~30回/分、心拍数は大型犬で60回~80回/分、小型犬で80回~120回/分となっています。ただし、暑い時期には当然呼吸数など多くなってきますので、その辺は加味してください。

また、脱水症状のチェックポイントは以下のようなものがあります。

・肌の張りをチェックする。犬の背中部分の皮膚を指でつまんでみて、すぐに元の状態に戻るようならOK。しかし、戻るまでに時間がかかるようなら注意が必要。脱水症状がひどい場合、つまんだままの形になってしまうこともある。
・目、口が乾いていないか。
・目が落ち窪んでいないか。
・オシッコがちゃんと出ているか。ほとんど出ていないようなら要注意。体の水分量が減ることでオシッコが濃縮され、結石ができやすくなる。

まだまだ暑い日が続きますが、日々のケアに気配りをして、この辛い季節を乗り切りましょう。皆さんとご愛犬ともに健やかな秋が迎えられますように。


出典および参考文献:
(*1)一般社団法人日本道路建設業協会「路面温度低減」
(*2)朝日新聞2010年1月22日記事
(*3)Canine Vector-Borne Diseases(犬の節足動物媒介性疾患) 「明日出会うかもしれない血液疾患 関東でも油断できないバベシア感染症」/日本大学生物資源科学部総合臨床獣医学研究室 亘敏広教授、infovets 2008.4
(*4)JAF(一般社団法人日本自動車連盟)「JAFユーザーテスト 車内温度/夏」


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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。