本格インド料理がリーズナブルに揃う、クアラルンプールのレストラン
インド料理屋台では、シーフードから肉系まで多種のカレーが楽しめる
マレー系、中国系、インド系と、おもに3つの民族が暮らすマレーシアには、多種多様なグルメがひしめいています。ココナッツミルクをたっぷり使うマレー料理、飲茶やスチームボートが人気の中国料理。そして今回ご紹介するのは、多彩なカレーを味わえる魅惑のインド料理。ナンでおなじみの北インド料理から、最近日本で人気が高まっている南インド料理まで、ありとあらゆるインド料理を堪能することができます。そのどれもが、マレーシアという国に暮らしながら、インド文化圏に生きるインド系マレーシア人がつくる本格派。ときにサンダルウッドのお香が炊かれた店内にいると、インドにトリップしたような錯覚を覚えるほど。
これがロティチャナイの妙技。空中でまわしながら生地をのばしていく
さて、マレーシアのインド料理店に行ったら、ぜひ見て欲しいことがあります。それは、料理を提供するときに繰り広げられる2つのパフォーマンス。1つは、ロティチャナイという、カレーをつけて食べるパン。油(ギー)を練りこみパイのように焼き上げる料理で、生地をのばす工程から焼き上げまでをゲストの目の前でやってくれるのです。ピザ職人顔負けの器用な手つきで、生地をのばして頭上でひゅっと手を離せば、生地が空中をひらりと舞う。それを何度か繰り返すと生地はどんどん広がっていき、あっという間に直径60センチほどの円盤サイズに。鉄板の上で折りたたみ数分焼けばできあがります。
テタレを2つのコップに移し替えているところ。テは紅茶で、タレは引くという意味
そして2つ目は、テタレという、マレーシア人が大好きなドリンク。紅茶の茶葉を煮だして練乳をたっぷり入れた甘いミルクティーで、スパイシーなカレーにぴったり。このテタレ、提供される直前にかならず、コップを1つずつ両手に持った職人が、テタレを2~3回、左右のコップに移し替えるのです。これは、味をまろやかにする“泡”を立てるため。できるだけ泡が立つように、移し替える2つのコップの距離をすこしずつ離していき、最終的には1メートル以上も離れているのですから圧巻! テタレのデキャンタとでもいいましょうか。真剣な表情の職人に見惚れてしまいます。
ちなみに、どちらの妙技も瞬間的な出来事なので、注文したら見逃さないように。高級レストラン以外ならどこでも目にすることができます。
クアラルンプールのインド料理レストラン
KLCCのフードコートにて。薄焼きクレープのような食感のトーサイは100円
クアラルンプールでインド料理を味わうときのポイント。それは、南インド料理は屋外レストランで、北インド料理は高級レストランで、ということ。つまり、バナナリーフカレー、炊き込みご飯のブリヤニ、パリッと薄焼きのトーサイ、ロティチャナイ(プラタと呼ばれることも)などの南インド料理を食べたいのなら、扇風機がまわる屋外レストランへ。カシューナッツでまろやかなコクを出したバターチキン、クリーミーなホウレンソウとカッテージチーズのカレー、ふわふわナンなどの北インド料理を食べたいのなら、冷房のきいた高級レストランへ。また、ショッピングセンター内のフードコートのインド系コーナーは、小腹が空いたときのおやつ感覚で使うのが手。トーサイやナンなどインド系のパンが、カレーと一緒に100円ぐらいで気軽に味わえます。どのレストランも、聖なる牛は食べず、脂ののったマトンが重宝されています。
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