M5よりも格段にスポーティ
マラガ空港近くのリゾートホテル&レストランで、新型M6と対面した。初代E24へのオマージュだろう。グリルの中に、Mバッジが光っている。ベースの現行6シリーズそのものが、くっきりとした目鼻立ちになったからか、旧型に比べると、随分と勇ましい面構えだ。フロントウイングは、専用アクスルを収めるためにワイドフェンダーとした。ロッカーパネルも幅広タイプで、トランクスポイラーやデュフューザー、左右2×2本出しマフラーエンドなど、ノーマルモデルとの識別点は多い。また、鍛造アロイホイールのスタンダードサイズは19インチ。オプションで20インチも用意する。
インテリアも全体的なデザインそのものはノーマルモデルと同じだが、カーボンファイバートリムで硬派なイメージを出しつつ、専用ディスプレイやスポーツシートでMにユニークなスポーツ機能も加えた。高級レザーマテリアルでラグジュアリィさも演出している。
まずは、M6クーペを借り出し、馴染みのプライベートサーキットに向けてスペインのカントリーロードを走らせてみた。1インチ大きな20インチタイヤ&アロイホイールとCCブレーキを積む、新型M6の、言ってみれば最強仕様となる。
走り出して2度3度、左右に振ってみれば、絶妙にダイレクトなステアリングフィールであることが、すぐに伺い知れた。さらに、スポーツやスポーツ+といった“やる気”モードを選ぶと、M5よりも格段にスポーティなステアリングフィールが味わえる。Mではないノーマルモデルとの比較では、ハナ先の動きが、格段に小気味いい。
ライドフィールは硬派な部類。フラット&ソリッドに徹する。道路の状況をよくドライバーに伝えるが、(CCブレーキのため)足元の軽さが利いているのだろう、小刻みに路面の凹凸をいなしつつ、上下動をイッパツで沈め、余計な振動を乗り手の身体に残さない。心地のいい硬さだ。
フロント/リアともに、わずかな範囲で粘るセッティングになっているため、最初のうちは、ダイレクトさと、その先の(500psを超えるハイパフォーマンスゆえ)“手に負えなさそう”なイメージとがあいまって、リズムよく操ることが難しいと感じてしまったが、いくらか距離をこなしていくうちに、実は乗り手の意志に自然な感覚で反応してくれているのだと判りはじめ、だんだんと意のままのドライブフィールを獲得してゆく。