どうやって1000万円貯めたのか?
生活費を切り詰め、余った資金は100%投資。それを就職してすぐにスタート。さらに配当金、分配金もプールすることなく再投資を繰り返し、27歳のときに総資産1000万円を突破しました。キッカケは入社1年目で感じた給与生活の限界
「21歳のとき、新卒で入った企業が低賃金、長時間労働、おまけに退職金なし高橋祐也さん(仮名) 年齢/30歳 職業/会社員 住まい/奈良県北葛城郡・実家 家族構成/父(63歳)、母(58歳)、弟(27歳)
高橋さんは投資を始めたキッカケをこう話します。コツコツ貯めても薄給のため、まとまった額にするには時間がかかる。ならば、より増やす手段として投資=不労所得を目指そう、と。実家住まいで独身という、リスクを取りやすい環境もそのことを後押ししました。
投資を始めて今年で10年目。すでに投資資産は1200万円を超えています。保有している日本株だけで常時40~50銘柄。他に米国株、投資信託など。その配当金や分配金の合計額は、2010年が25万円、昨年が34万円でした。目標は、年間50万円とのことです。
これだけ膨らんだ投資資産ですが、もちろん、スタートは給与を切り詰めて作った少額の自己資金です。その後、配当金、分配金を受け取ると再投資。それを繰り返しながら、投資資産を増やしていきました。今後は、手持ちの投資商品を売却し、最終的には配当金、分配金以外の投資分を回収したいと考えています。
「不労所得が不労所得を生む。それが僕の理想なんです」
精力的な投資の裏で地道な節約生活
高橋さんの給与は手取りで21万5000円。そのうち12万~13万円を貯蓄と投資 に回しているのですから、当然、節約生活を強いられています。まず、実家には甘えます。生活費1万円で水道光熱費と朝食、晩ご飯を確保。昼食代も月1万円しか財布に入れず、これでまかいます。ドリンクはマイボトルを持参。独身だと何かとかかる交際費ですが、今年結婚を予定している婚約者とのデート代でさえ、月5000円に抑えるなど、日々の努力も惜しみません。結果、精力的な投資を可能にしているわけですが、順調と思える不労所得にも課題がないわけではありません。それは、不労所得が株価や投信の基準価額が変動していないと仮定しての利益だ、ということ。実際、投資額と現在の資産総額を比較するとマイナスだそうです。それでも、ここ3年で増えた総資産は約500万円。これだけ株価が低迷する中で、投資成果はそれなりに得ている数字と言えるでしょう。
「それでもリーマンショック以降、徐々に路線変更しつつあります。それまでは100%投資でしたからね。結婚も控えていますので、今後、定期預金などを増やしながら、より安全性商品の比率を増やた資産バランスを形成したいと思っています」
■FP深野康彦先生のワンポイント解説
「独身で実家暮らしというメリットを最大限活用していますね。投資商品数はかなり膨らんでいますが、経験も積んでますし、何より本人が楽しみながら投資しているので心配はいらないでしょう。また、不労所得で不労所得を生むという発想もユニークです」
次のページでは、節約や投資をゲーム感覚で楽しみながら、年間200万円を投資で稼ぐ30代男性が登場します!
取材・文/清水京武 監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー)
イラスト/ハマダミノル