子供の病気/その他の子供に多い病気

原発性免疫不全症の症状・治療・予後(2ページ目)

免疫不全には、生まれつき免疫が低下している病気とAIDSのように大人になってから免疫不全になる場合があります。今回は、生まれつきの免疫不全である原発性免疫不全症の症状、治療、予後について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

原発性免疫不全症の検査

免疫細胞は血液中に含まれていますので、血液検査を行います。
  • 血液中の白血球(細菌に抵抗力を示す好中球数、リンパ球数)
  • 免疫力を示す抗体であるIgG、IgM、IgA、IgE
  • 補体の値
  • リンパ球の種類の解析(例えば、HIVなどで減少するCD4陽性リンパ球の数など)
  • リンパ球の機能検査
  • Natural Killer細胞というガン細胞を攻撃する細胞の攻撃力
  • 白血球の貪食能・殺菌能
などです。

また、胸部X線で胸腺という組織があるかどうか、呼吸器感染症がないかどうかを見ます。腹部超音波検査で脾臓が大きくなっていないか、内臓に感染症がないかどうかも検査します。

原発性免疫不全症には遺伝子異常がある例が多いため、遺伝子診断も行われます。

原発性免疫不全症の治療法

原発性免疫不全症は、まずは疑って検査し、正確に診断することが大切です。免疫不全でどの細胞が働いていないのかを知ることで、治療方法が変わってきます。つまり、原発性免疫不全症の分類によって治療方法は異なります。

例えば、IgGが少ない免疫不全症では、IgGを補充する治療を行いますし、複合型免疫不全症では早期に骨髄移植が必要になります

原発性免疫不全症では感染症にかかると治りにくい、重症化しますので、感染予防は欠かせません。例えば、免疫不全で悪化するカリニ肺炎予防のためにST合剤を内服する必要があります。カリニ肺炎を原発性免疫不全症で発症すると治療は厳しいものになります。

多くの免疫不全症は、免疫に関わる細胞が骨髄から作られることから、骨髄移植が現時点での根本的な治療になります。遺伝子の異常の場合は、遺伝子治療がありますが、発がん性の問題もあり、現時点ではまだ研究段階です。

発生する頻度は多くはない病気ですが放置すると危険ですので、上記のような免疫不全の症状がある場合は、医療機関で検査を受けられることをお勧めします。
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