過激度レベル3 人生変えちゃう宿かもね!?
大きな震災後に崩れた安全神話。「限りなく原始に近い生き方ってできないものだろうか?」そんな生活への疑問を持たれた方に、訪ねてほしい民宿をご紹介しましょう。民宿「山小屋 フィールド・ノート」は、岩手県の中央にある早池峰山の麓「タイマグラ」にある奥畑さん一家が営む宿。タイマグラ……その名前の響きからいって想像がつくかもしれませんね。そうです。ここはかつてアイヌの山里でした。「きれいな水の流れるところ」「人が集う森」という意味があるそうです。
「大麻座橋(タイマグラ橋)」と書かれた橋を渡った左手、うっそうとした茂みのなかに宿は見え隠れしています。看板もなく、携帯電話も通じませんので事前に下調べが必要です(カーナビの場合は「タイマグラキャンプ場」を入力すると付近まで行くことができます)。
ここ、タイマグラは戦後に10数軒の農家が移り住み開拓をしましたが、最後に残ったのは一組の夫婦。その暮らしぶりが映画化されたのが「タイマグラばあちゃん」です。DVD化されていないのですが、制作ノートである「タイマグラ通信」は、いせフィルムの通信販売で手に入れられます。
20年間二人だけで生きてきた、ばあちゃん夫婦の隣人となったのが、宿のご主人である奥畑さん。宿泊客は、一家のお家に泊めてもらうようなかたち。二部屋しかありませんので、男女混ざったグループなら男女別。夫婦や家族なら二組まで泊まることができます。
なにせ昭和60年代に入ってから電気が引かれたぐらいの所ですので、自給自足が基本です。火力の基本は薪。電気も最小限に、トイレも水洗ではありません。お風呂もトイレも一つだけ。皆で仲良く順番に済ませます。
居間では、三人息子の末っ子くんが宿題をしながら手伝いをしています。ヒバ作りの風呂で「お湯加減いかがですか~?」なんて声を掛けられた時には心が温かくなるのを覚えます。夕飯時になって真ん中のお兄ちゃんが帰ってきました。しかし、二人の瞳と肌が透き通っていること! 人間はこんなにも美しく育つもののだ!と感動します。
夕飯は、ストーブを囲んで、山菜や野菜を中心にした手料理をいただきましょう。「まさかお酒なんて……」なんて思っていたら、なんと冷たい缶ビールの次にはお気に入りの地酒が出てくる出てくる! ゆっくりとお酒を酌み交わしながら、この国の政治や経済までを語りつつ、夜はあっという間に更けていきます。
料金は、一泊二食で6000円。お酒を飲む方は7000円。
自分の人生「激ヤバ!」なことに気づいちゃうかも!? そんな、ありがたい宿なのです。
■早池峰・タイマグラ 「山小屋 フィールド・ノート」
住所:岩手県下閉伊郡川井村字江繋タイマグラ
TEL:0193-78-2888(受付時間8:00~21:00)
地図:Yahoo!地図情報