『舞姫』でバウホール公演初ヒロイン、新人公演ヒロインも次々と務めていきます。
「新人とは思えない演技力」「堂々とした舞台姿」……そんな言葉が常に聞かれる中、大空祐飛さんと出会った運命の役、『銀ちゃんの恋』の小夏を演じます。 “不憫な女”ではなく“あんなに可愛い女”に見せた野々さんの凄さ。
また2009年より、第9代池田銀行(後の池田泉州銀行)のイメージガールも務めました。
やがて、大空さんと共に宙組に組替えし、トップ娘役の座に。魅力的な役を次々と演じていきます。
『カサブランカ』のイルザ、『ヴァレンチノ』のジューン、『仮面のロマネスク』のメルトゥイユ侯爵夫人……。大空さんの相手役ゆえ、酸いも甘いもかみ分けた大人の女性の役も多く、上品な中に匂い立つ色香、若さや瑞々しさを感じさせながら、ベテランの貫禄さえ見せました。
それでいて『クラシコ・イタリアーノ』ミーナのような等身大の役も溌剌としていてチャーミング。
そんな可愛らしさを最大限に発揮したのが、髪をショートにして挑んだ『誰がために鐘は鳴る』のマリア。健気で純粋な“可愛いウサギさん”は、聖女のように清らかでした。
野々さんが動かす舞台の空気は「演じるのが好き!」という彼女の気迫なのでしょう。
美声で奏でる歌も上手い。キレのあるダンスも素敵。
そして……泣く演技が上手い。これほど観客を泣かせるのが上手い娘役もいませんでした。
テクニックかつ天才的なセンスの良さから、娘役というより“女優”という言葉が似合う人でした。