焼酎/麦焼酎

7月1日は壱岐焼酎の日、麦焼酎発祥の地をリポート(5ページ目)

大陸と古代日本の文化交流点であった長崎県壱岐は、麦焼酎の発祥の地である。さらに知る人ぞ知る食の宝庫。お酒とおいしいものと歴史に興味がある人にこれほどお勧めの場所はない。7月1日壱岐焼酎の日を目前に島内の焼酎蔵7社をすべて訪問。それぞれの特徴とお勧めの宿、店、観光スポットをたっぷり2回に分けてご紹介する。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

かめ仕込み、かめ貯蔵でなめらかさと深みの「山の守」

山乃守

歴史ある風情の山乃守

焼酎きき酒師の講習会で麦焼酎の代表銘柄として長い間使用していたのがこの「山の守」。お蔵に来ることができて感激ひとしお。明治32年創業の歴史ある蔵で今なお伝統手法で焼酎造りが行われている。「山の守」の味わいの特徴は、なにしろ、なめらかでやさしくて上品なコクと長い後味をたのしめるところ。この味わいを生み出すのは「かめ仕込み」と「かめ熟成」にある。

 

仕込み室

かめが並ぶ仕込み室。とても清潔だ

米麹と水で行う1次仕込みと、蒸した麦を加えて行う2次仕込みを、すべて「かめ」によって行う。この製法はほかにはない。現在60本のかめが仕込み室に並ぶ。大きさは540リットル前後。手造りのかめゆえに大きさが違うのだ。小ぶりのかめで仕込むのは想像以上に手間がかかることもうかがったが、それでもこの造りにこだわる。それが山の守のアイデンティティだから。

 

2年後に発売されるかめ仕込が眠る

かめ

18リットル(1斗)のかめで2年間寝かされる

さらに、すべてのもろみを伝統的な蒸留(常圧蒸留)で行った後、18リットル(1斗)のかめで熟成させる。出荷は2年後の予定。製造後すぐには販売できない熟成酒。造り手の負担も大きい。ちなみにこのかめに書かれた「山の守」の文字はすべて手書き。微妙に一つ一つが違う。かめが手造りだということがよくわかる。さて、2年後にどんなふうに変身しているのだろうか。

 

ボトル

やわらかい味わいが身上の山乃守

テイスティングをさせていただいたそれぞれの銘柄は、どれも滑らかでやわらかく、きめ細かい舌触りと品のいい香ばしさとミネラル感があり後を引く味わいだ。お湯割りだとその個性がもっと開くだろう。最近、白カビチーズとかめ仕込み・かめ寝かせの焼酎をおすすめしているが、まさにこの独特のミネラルの風味が「同調」するのだ。チーズファンの方、ぜひともお試しを。

有限会社 山の守酒造場

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