幅広い商品群に飽きない飲み口が愛される「むぎ焼酎 壱岐」
スタンダード商品がこれ
元々は壱岐で最も高い山「岳の辻」(標高約213メートル)の湧き水を使用したことから「瀧泉」のブランド名だった。昭和29年の島外出荷を機に「玄海」とあらため、昭和50年にはむぎ焼酎発祥の地という想いを込め「むぎ焼酎壱岐」になった。説明してくださったのは玄海酒造株式会社五代目・山内昭人社長。
合鴨農法で作られるナチュラルな酒
飽きない味を目指す「むぎ焼酎壱岐」を筆頭に、上品な樽香が楽しめる「壱岐スーパーゴールド」「壱岐オールド」、かめ貯蔵「一支國いき」、すっきり軽快な「壱岐グリーン」など商品も幅広い。なかでも無農薬の合鴨農法で栽培される米を使用した「大謹醸」は、クリアで洗練された風味が印象的だ。
蒸したての大麦。豊かな香りが工場中に漂う
蔵の中ではちょうど大麦の蒸しが行われていた。ぷりっとハリのある大麦は香ばしく健康的な香りを放っている。蔵人の手で丁寧に仕込みタンクに移されていく。大麦も品質にこだわり、オーガニック麦を使用することもある。
蒸留釜の奥には神棚が
蒸留も行われていたこの日、蒸留したて、出来立ての焼酎を飲ませていただいた。アルコールがつんと香るが驚くことにとてもフルーティー。果物を使っているわけではないのになんと不思議なことか。麦や米の力恐るべしだ。さらに、仕込み(発酵)中のタンクの中もまるで熟したりんごのような甘酸っぱい香りがする。酵母や麹が元気に働いている証拠だ。
焼酎は自由な飲み物
整然と並ぶ樽。甘い香りが心地いい
昭和36年という早期に樽熟成をはじめたのも玄海酒造。昭和37年物のシェリー樽が今も残る。現在2000個を所有する樽庫では、整然と並ぶ黒光りする樽の中で静かに焼酎が眠っていた。酒税法によって樽熟成の色合いが規制されていて、ウイスキーなどよりも淡い色合いに仕上げなければいけないのだが、米麹の甘さと麦の香ばしさが樽によってゆっくり花開く味わいは感動的でもある。
テイスティングとともに説明をしてくださる山内社長
「昔はストレートで飲みましたが、今ほど製造技術がよくなかったので、飲む前に一度燗をつけてアルコールやさまざまな成分を飛ばして飲んでいたのです」と五代目。水割りやオンザロックとさまざまな飲み方ができる焼酎は自由な飲み物だけれど、島で味わう焼酎は、やはり先人にならいストレートがおいしいように思うのだ。
玄海酒造株式会社