昔の常識3:株は身を持ち崩すからとにかくNG
昔の常識が現代の非常識となっている最たるものはリスク資産運用でしょう。20年以上前には株で身を持ち崩す素人も少なくなかったようで、「家訓で株は禁止」とか「親戚の親戚(←考えてみると怪しい設定)が株で借金まみれになったことがあるからダメ」というような話をする年寄り世代は少なくありません。自分がNTT株で損したからと子に余計な制約を課している人もいます。これも現代の非常識の好例です。まず投資の条件が20年で変化したことを考慮していません。情報開示は豊富かつスピーディーになり、売買手数料も大幅に下がりました。軽減税率が終了する可能性はありますが、税制上の優遇もあったりします。また、株で身を崩した親戚の例は、実際には投資の正しいやり方を知らずに感情のままリスクを取ってしまった失敗例であって、これをもって投資が危険というのも単なる無理解でしかありません。リスクを抑えつつリスクとつきあうことで、高い利回りを目指していくことは可能なのです。
親の常識は子の非常識になっているという時代の変化、また親が知らなかったとしても子の世代では知るべき知識となっている時代の変化に対応していくことが求められているわけです。
昔の常識4:頑張っていれば老後のことはなんとかなる
昔の常識が現代の非常識である、という最後のポイントとして「今をがんばっていれば将来のことは何とかなる」を指摘したいと思います。これは高度経済成長期においては問題ない発想だったわけですが、現代にはもはや通用しません。たぶん、読者の皆さんも同意してくれることと思います。老後のことは自分で積極的に考え行動しなければ、生活にまったく余裕がない20年を送る可能性があります。年金をもらえないわけではありませんが水準は下がるからです(1円ももらえないわけではないが、それでも重要な問題です)。はっきりいってしまえば、親の世代はそもそも老後の準備なんて考えもしなかっただけなのです。それは、もはや現代の非常識です。自分の力で自分の老後に備える行動を起こしていかなければならないのです。
反面教師としての親世代から学べることがある
もし親の世代の「昔の常識」から学べることがないか、と聞かれれば、「貯金をしっかりする」ということだと思います。かつてはクレジットカードも普及しておらず、消費者金融も便利ではなかったため、お金を借りることに高いハードルがありました。多くの人はこつこつ貯金をして、そこから高額消費をしていたのです。月賦のような分割払いは高額の家電品に限られていました。きちんとお金を貯め、できるだけ借金はしないというのは今でも有効な「お金の常識」です。
しかし、ほとんどのお金の常識は長い時間を経て「お金の非常識」になっています。これを大事に守るほど私たちは損をするかもしれません。あなたを育ててくれた親には感謝しなければなりませんが、お金のルールが変化しているのに守り続けることとは関係がありません。ときには反面教師として上の世代を見ることも大切なのです。