次の世代としっかり話し合って決める
次の世代との話し合いが大切
オーナーさんが賃貸経営を次の世代に引き継ごうと考え始めるのは、体力や気力に衰えを感じてくる70~80歳代が中心です。そのときお子さんの多くは40~50歳代です。
仕事ができてしっかりしたキャリアを持っている人の場合、そのくらいの年齢はいちばん充実していて忙しいものです。賃貸経営がお荷物となってしまう場合もあるのです。お子さんに、もし賃貸経営を引き継ぐ意思がないということなら、オーナーさんご自身がまだしっかりしているうちに、物件を生かしてくれる人に譲渡することを検討すべきでしょう。
賃貸物件の管理は手間と時間と精神的なコストがかかりますが、売却して金融資産に換えてしまえば、ずっと楽になります。相続を考えても、節税を目的に賃貸物件とするより、処分の楽な資産の形でお子さんに残してあげるほうが、より感謝されるかもしれないのです。
子供に引き継いでもらいたいなら
もしもオーナーさんがお子さんに賃貸経営を引き継いでもらいたいと考えているならば、早いうちから当事者意識を持ってもらうことが大切です。そのためには、掃除でも確定申告でもいいですから、賃貸経営に関わる仕事を手伝ってもらい、興味を持ってもらいましょう。とはいえ、誰にでも向き不向きはあります。お子さんが性格的に賃貸経営に向いていなければ、引き継いだとしても最終的に経営に失敗してしまい、かえって苦しむことになってしまうかもしれません。お子さんの適性についてはオーナーさんご自身が判断しなくてはなりません。1つポイントを挙げるとしたら、「人づきあいができるかどうか」でしょう。というのも賃貸経営では、不動産会社、リフォーム業者、修繕業者など意外につきあう相手が多く、ある程度の社交性が必要だからです。また「うまく人を使う」ことも必要で、それができるかどうかもポイントになります。
いずれにしても「私ももう歳だから、そろそろ賃貸経営を引き継いでくれないか」と頼む以前に、お子さんと話し合い、お子さんの人生設計の中に賃貸経営というビジョンがあるかどうかを確認しておかなくてはなりません。現在の経営がうまくいっていて、お子さんにも引き継ぎたいという意思があるならば、「建物の老朽化が賃貸経営のやめどき」とはいえません。