博物館マニアにはたまらない、イスタンブール考古学博物館
この建物そのものが、遺跡
欧米に比べて美術館や博物館のレベルがあまり高くないと思われがちなトルコ。ですが、このトルコという土地を巡る歴史の深さは類まれなるもの。ヒッタイト王国、ギリシャ都市国家、ヘレニズム、ローマ帝国、ビザンティン帝国、オスマントルコ帝国…… そして、トルコがこうした素晴らしい歴史の宝庫であることを最も如実に感じられる場所が、ここ、イスタンブール考古学博物館なのです。
欧米列強のしたい放題だった国内遺跡を守った、トルコ考古学の父、オスマン・ハムディ氏
この博物館、かなり古い歴史を持ち、さかのぼること1869年に『帝国博物館』として設立されたのが始まり。当初は現
トプカプ宮殿の中庭にあるアヤ・イリニ教会にオープンし、その後アヤ・イリニが手狭になってくると、現在タイル博物館として利用されている建物に移設されます。ちなみに、このタイル博物館建物は入口に1472年建築と書かれており、イスタンブールの市民建築物としては最古のものなのだとか。
1881年にトルコ考古学の父、オスマン・ハムディ氏が館長に就任すると、それまで欧米列強によってごっそり国外に持ち出されていた国内遺跡の保存が積極的に進められたり、オスマン・ハムディ氏本人が1887-8年に現レバノンのシドンで行った発掘作業によって発見した数多くの石棺などが持ち込まれたりして、さらに広大な展示エリアが必要になってきました。こうして1891年6月13日、現在ある考古学博物館の本館部分がオープン。この建物自体も、トルコで博物館を目的として建設されたものとしては最古のもので、歴史的建造物となっています。
前庭にも魅力的な遺跡がたくさん
現在では全体で100万点近い発掘物が保管されており、博物館マニアにはたまらないスポット。実際、博物館内の庭や隅の方にはナンバリングだけされた遺跡たちが無造作ゴロゴロと並べられていて、その数の多さとざっくばらんな扱い方に驚く人も多いはず。また、見どころがあまりに多過ぎる博物館だけにリニュアールが追い付いていない部分も多く、中にはここ100年ぐらい全く変わっていないのでは? ……と思わせるような古き良きまったり感を感じさせる展示エリアもあります。余談ながら、ここは警備員さんたちも親切で暇そうな人たちが多く、英語の練習とばかりにやたらと英語で話しかけてくる人も入れば、観光客と世間話をしていたり、お茶をすすめてくれたりと、博物館にありがちな堅苦しい空気は皆無、その親しみやすい雰囲気と展示物の偉大さとのギャップも見どころです。
イスタンブール考古学博物館の回り方
一枚のチケットで3つの博物館が回れる!
この博物館、敷地内には下記3つ建物があり、共通の入場料で3つとも鑑賞することができます。
入口入ってすぐ右手にオーディオガイド販売所があります
メインはやはり中央にそびえる巨大な考古学博物館なので、まずはそちらを鑑賞しましょう。まだ時間が余るようだったら、入口入ってすぐ左手にある古代オリエント博物館へ、さらに時間があれば奥左手にあるタイル博物館に行くのがおススメ。全部をじっくり見て回ると丸一日、駆け足で回っても2時間はかけたいところです。この他、日本語のオーディオガイドも10トルコリラ(約430円)で借りることができます。
古き良き考古学博物館敷地内の、やけにモダンなミュージアムカフェ
途中で疲れたたら、考古学博物館前の庭にあるカフェで休憩してみて。ここは遺跡に囲まれた静かな庭で、とりわけ夏の暑い日などはそよそよと吹く風と木陰の涼しさが心地よく、博物館回りで疲れた身体を癒してくれること間違いなしの穴場スポット。新しく建てられた「Museum Café」も近くオープンの予定だそうです。