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室温28度は暑い?涼しい家にする簡単リフォームの工夫

環境省が推奨している夏の室温は28度。でもそれでは暑いと感じている人が多いのでは?実は同じ28度でも、暑く感じる家と涼しく感じる家があります。28度でも涼しい家にする簡単リフォームの工夫をご紹介します。(2017年改訂版、初出:2012年6月)

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

環境省が推奨している室温28度では暑い?涼しくする秘訣は

夏のエアコンの設定温度、皆さんの家では何度にしていますか?夏の日中の消費電力の半分以上がエアコンで占められ、またヒートアイランド現象が起きる原因のひとつに室外機の放熱があるため、エコの観点から環境省が推奨している室温は28度です。

寒暖計

環境省では室温28度を推奨。でもそれでは暑いと感じる人も多いのでは?


しかし28度では暑い!と感じている人も多いのではないでしょうか。特にオフィスではより暑さを感じている人が多いことでしょう。と言うのも、同じ室温であっても暑い家と涼しい家があり、快適かどうかは室温だけでなく様々な複合要素によって決まるからです。

28度で暑いと感じる家は、室温以外に原因があり、そこをしっかり対策しておけば、涼しい家にすることも可能なのです。

太陽が当たった床の表面温度は48度以上、暑い原因はここにある

暑さ寒さは体感温度によって決まります。同じ室温でも、風通しがよく湿度が低ければ涼しく感じられるというのはご存知の方も多いことでしょう。

体感温度は、空気の温度だけでなく、照り返しの熱、風の流れ、湿度など複合的な要素の組み合わせで決まります。この中で意外に知られていないのが、この照り返しの熱による暑さです。

照り返しの熱とは、太陽の熱によって温められた人工物が蓄熱し、それがまた新たな熱源となって発する熱のことを言います。

例えば、炎天下に置かれた鉄パイプに手を近付けると熱気を感じます。また夏にアスファルトの上を歩くともわっと熱を感じることと思います。この熱が照り返し熱で、輻射熱もしく放射熱と呼ばれていて、オイルヒーターや床暖房と同じ原理で身体を直接温めます。

街全体でこのような状況が起きているのが、ヒートアイランド現象です。草木など自然のものは、強い直射日光が当たっても水分が蒸発することによって温度の上昇を抑えてくれますが、人工物は蓄熱して周囲の温度を跳ね上げてしまいます。

日向の床の温度

夏の暑い日、放射温度計で太陽が当たったフローリングの表面温度を測った様子。ちなみにエアコンの設定温度は25度(撮影:一級建築士事務所 OfficeYuu


上の写真は、夏の暑い日に、放射温度計で直射日光が当たった室内のフローリングの表面温度を測った様子です。なんと48.4度もあります。ちなみに床暖房の表面温度は約30度ですから、それよりはるかに高くなっています。つまり高温の床暖房を付けているのと同じ状況にあります。

室温28度でも暑い家やオフィスを見てみると、このような現象があちこちで起きています。窓枠やガラス、フローリング、壁、家具、窓のすぐ外のベランダの床や手すりなどに夏の強い直射日光が当たれば、表面温度はすぐに40度~60度程度まで達します。このような状況下でいくらエアコンを付けても、同時に部屋の中のアチコチでオイルヒーターや床暖房床暖房を付けているようなものですから、暑くて当たり前なのです。

ちなみに、照り返しの熱を受けた場合の人の体感温度は、正しくは複雑な計算式が必要ですが、(室温+照り返しの熱源の温度)÷2でおおよそがわかります。つまり室温28度でも、近くに表面温度が40度の熱源があれば、体感温度は(28度+40度)÷2=34度になります。

オフィスではスチール製の家具を使っていることが多いので、蓄熱しやすく表面温度は更に高くなります。これでは更に暑さが増すことでしょう。いくらエアコンの設定温度を下げても、このような照り返しの熱源を何とかしない限り、暑いままなのです。

太陽の日射熱を防ぐプチリフォームで、室温28度でも涼しい家に

エアコンの室温設定が28度でも涼しい家にする方法は、実はとても簡単です。まずは照り返し熱を防ぎましょう。そのためには、家の中に強い日差しを入れないのはもちろん、窓枠やガラスそのもの温度も上げないよう、窓の外側に日よけを取り付けるリフォームが効果的です。

例えば緑のカーテンや、日本古来のスダレやよしずは、窓を外側から覆って日よけにすることで、室内の涼しさを保ちます。窓ごと全面覆うことを意識すれば、それだけでかなり暑さが防げます。

すだれ

日よけは窓ごと全面を覆うのが効果的。スダレやよしずなら手軽にすぐできる。昔ながらの知恵。


庭やベランダが室内の暑さの原因に、日よけや遮熱塗料で涼しく

ベランダの床面のコンクリートやウッドデッキにも対策すれば、更に涼しくなります。これらは人工物のため、太陽の直射日光が当たれば蓄熱しやすく、暑さの原因になります。直射日光で熱せられ、蓄熱した床面は巨大な発熱体で、表面温度は60度を超えることもあります。これでは窓のすぐ外に床暖房があるようなものですから、家の中まで暑くなって当然です。

そこで、家の周囲はできるだけ芝生や植木で覆う、ベランダやウッドデッキなどの人工物には直射日光を当てないなど、窓の周囲の温度が上がらないよう工夫することで、涼しく過ごすことができるようになります。特に植物の力は偉大で、植え込みなどで木陰を作ると、そこを抜けて吹く風も涼やかになります。

日除け

手軽に取り付けができるロールスクリーンタイプの日よけ。手すりに取り付ければベランダの床が高温になることを防いでくれる(オーニング取り付けリフォーム、日よけで夏を涼しくより


窓の外側に取り付ける日よけ商品は、本格的なオーニングや手軽なロールスクリーンなど、様々なタイプがありますので、わが家にあったものを選んでいきましょう。

最近では、気化熱を利用して表面温度が上がるのを抑制する、屋外の床に張る保水タイルもあります。また鉄製の手すりは、遮熱塗料を使って塗装しておくことで表面温度を10度ほど下げることができます。

太陽が沈んだら風通しよく、通風雨戸やシャッターを使えば涼しい

夜になれば直射日光が無くなりますので、照り返し熱の影響は少なくなりますが、いったん蓄熱してしまうと、夜中になっても冷えずに暑いままです。特に西日は、夕方から室内の温度を上げるので夜になってもなかなか温度が下がりません。西日はできるだけ家の中に入れないよう、雨戸やカーテンをシッカリ閉めて対策しましょう。

また日が落ちたら、風通しよくしておくことが涼しさを感じるポイントになります。風通しの秘訣は、部屋に風の入り口と出口を作り対面させること。ドアを開けて家全体で風の道筋を作りましょう。

玄関網戸

玄関を開ければ風が抜ける家も多い。玄関網戸もイマドキはおしゃれなタイプがいろいろある(おしゃれな玄関網戸で風通しのいい家にしようより


閉めたまま風通しができるスリット入った通風雨戸やシャッターもあります。今あるレールやボックスに合わせて、古くなった雨戸やシャッターのスラットだけを交換することも可能です。

風が抜けないと感じたら、間仕切り壁に窓を開ける室内窓の取り付けリフォームをして、まっすぐな風の道筋を作ると、家中に風が抜けるようになります。室内窓を使った風通しの工夫は下記でご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
室温28度でも涼しい家にするためには、まずは直射日光による蓄熱対策、そして風通しよくすることです。また人が多いオフィスでは、人が発熱体となるので更に暑さが増します。そのままでは仕事の効率が落ちますので、エアコンの設定温度を下げるか、扇風機を併用するなどの工夫をしましょう。どちらにしても無理は禁物です。大事なことは健康に快適に暮らすこと!様々な工夫で暑い夏を涼しく乗り切りましょう。

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