生活習慣が及ぼす肝臓への影響
仕事や家事、趣味にレジャーと毎日が楽しいながらも慌ただしく過ぎていく。そんな私たちにとって、健康というのはその基本になるありがたいものです。しかし、飽食の時代の到来に加え、自動車や交通機関の普及、グローバリゼーションに伴う食文化の発達など、私たちの生活習慣はまさに激変してきました。
高血圧や糖尿病など、以前は「成人病」と呼ばれていたものも、自らの生活習慣とも深く関わっているということから「生活習慣病」と呼ばれるようになってきました。最近の生活習慣は、肝臓に負担をかけやすいことが知られていますが、肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、なかなか症状が現れにくいのが特徴です。今回は、肝臓を大切にケアするためのポイントについて解説します。
肝臓の果たす役割の重要性
医薬品は病気の治療のために正しく使えばきちんと効果は現れます。しかし、お薬の多くは肝臓で分解・代謝されますので、結果的には肝臓に負担をかけることになります。
ところで、肝臓とはどのような働きをしているのでしょうか。いろいろな機能があるのですが、大きく分けると以下の3つにまとめることができます。
1)解毒作用
お酒は肝臓で解毒される、という表現を見聞きされた方もいらっしゃるでしょう。私たちは毎日の生活の中で、アルコールやお薬、最近では様々な食品添加物などいろいろな物質を摂取します。それらを分解して無毒化することを解毒と言い、肝臓の果たす重要な役割の一つです。
2)代謝
私たちが口にする食べ物はそのままの状態では体の栄養として生かすことはできません。食べ物は、胃や腸から血液内に吸収され肝臓に運ばれ、体内で活用可能な栄養素へと加工され、さらに全身に送られて利用されます。これを代謝と言いますが、肝臓の役割の一つです。
3)胆汁の生成
さらに、肝臓の役割として、胆汁と呼ばれる消化液を作ることがあげられます。胆汁は胆嚢という袋に貯められ、十二指腸に分泌されますが、その主成分である胆汁酸は、脂肪の吸収を助ける機能を持っています。
肝臓も年をとる!?
同僚や家族での楽しい宴会。ただ、食べ過ぎ、飲み過ぎは肝臓に思わぬ負担をかけてしまっているケースがあるのです。
健康な生活を送る上で大切な肝臓も、私たちと一緒に年をとります。いわゆる「肝機能の低下」は、血液検査のASTやALT、γ-GTPなどの値でモニターすることができますが、近年肝機能が低下している方の数が増えていると報告されています。
肝機能低下の原因には、肝炎ウイルス、自己免疫疾患など疾病によるものや薬剤によるものもありますが、生活習慣もあげられます。
とくに、食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足は、脂肪肝をきたしやすくなりますが、これらは肝機能低下の原因となります。また、ストレス状態が続くと肝臓の血流が低下し肝臓にダメージを与えることにもつながります。
食生活の乱れや運動習慣の減少、ストレスの増加・持続なども、肝臓が年をとり、肝機能低下につながる可能性についても、現代人共通の悩みと言えるのかもしれません。