ニューリッチへの道/ニューリッチへの道

ハイレバレッジは危険という無知

マネー専門家の中にも、勘違いをしている人が数多く存在します。それが「レバレッジが高いのは危険」「初心者はレバレッジを低くするべき」、「レバレッジ規制で健全になる」というものです。この文言を目にするたびに、私は失笑というか、肩をすくめてしまいます。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

ニューリッチへの道ガイド

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レバレッジの大きさとリスクの大きさは関係ない

マネー専門家の中には、勘違いをしている人も数多く存在します。それが「レバレッジが高いのは危険」「初心者はレバレッジを低くするべき」「レバレッジ規制は健全になる」、というものです。この文言を目にするたびに、失笑というか、肩をすくめてしまいます。そして、日本のマネー専門家の底の浅さを痛感し、その本の読者は気の毒だなとも感じます。これは私が傲慢だからというわけではなく、根本的に間違っているからです。「落花生は枝にぶら下がって実っている」というのと同じくらいの勘違いです。そもそもレバレッジの倍率とは、損益の振れ幅の大きさではなく、1単位の取引に必要な証拠金額の大きさに過ぎません。レバレッジ倍率と損益の大きさとは、そもそも関係ないのです。

たとえばFXで考えてみましょう。1ドル=80円のとき、1枚(1万通貨単位、つまり1万ドル)を買ったとします。レバレッジ1倍であれば、1枚の売買に必要な証拠金は約80万円です。レバレッジが1倍ということは、80円×1万ドル=800,000円というわけですね。もし1ドル=81円になって決済すれば、81円×1万ドル=81万円が戻ってくるので、1万円の利益が出ます。

では、同じ為替レートのとき、レバレッジ25倍でトレードしてみます。1枚の売買に必要な証拠金は、80万円の25分の1ですから、32,000円です。つまり32,000円あれば1万ドルの取引をすることができます。同じく1ドル=81円になって決済したとき、1円分の利益が出ていますが、1万ドル分の取引をしているので、1円×1万=1万円です。

では、レバレッジ400倍ならどうでしょうか。1枚の売買に必要な証拠金は、80万円の400分の1ですから、2,000円です。同じく1ドル=81円になって決済したとき、2,000円しか使っていませんが、これも1万ドルの取引をしているので、1円×1万=1万円です。

このように、レバレッジが何倍であろうと、1万ドルの取引をして1円動けば1万円の損益が発生します。レバレッジが1倍であろうと400倍であろうと、1万ドル分の取引をして2円動けば2万円の損益が発生します。つまり、1万ドルの取引をするために必要な証拠金が、レバレッジ1倍なら80万円用意しなければならない、レバレッジ400倍なら2,000円を用意すればよい、というふうに変わるだけです。レバレッジ400倍なら損益の振れ幅も400倍になるわけではありません。

「ハイレバレッジは危険」という思い込みがなぜ発生したか

ではなぜ、ハイレバレッジは危険という常識が出来てしまったのでしょうか。それは、ポジション管理と資金管理を考えない、むちゃなトレードをする人がいるからです。たとえば先ほどの例でいくと、レバレッジ1倍で必要な証拠金は、1枚(1万ドル)あたり80万円とします。もし、口座に預けたお金が100万円であれば、1枚買うのに80万円必要ですから、2枚買うことはできません。1枚しか取引できないということはわかりますよね。この制約が無茶なトレードのブレーキになります。そして1万ドルの取引なので、1円動けば1円×1万ドル=1万円の損益が発生する、というのは先ほど解説したとおりです。

しかし、もしレバレッジ400倍なら、1枚あたり2,000円ですから、100万円÷2,000円=500となり、理論上は500枚(500万ドル)までの取引をすることが可能です。
500万ドルの取引ですから、もし1円動けば1円×500万ドル=500万円の損益が発生することになります。口座には100万円しかありませんから、すぐに強制ロスカットされて飛んでしまう、というメカニズムはおわかりいただけると思います。

そうです。ハイレバレッジだと証拠金が安いため、たくさん取引できるのです。
だからと調子に乗って、大量のポジションを持ってしまうために、為替がちょっと動くだけで飛んでしまうというわけです。つまり問題なのは、レバレッジではなく、自分の資金に応じたポジション管理ができていないことなのです。こういうことをするのは、欲張りな人か、掛け算と引き算ができない人のどちらかです。

つまり「ハイレバレッジは危険」というのは、強欲な人や算数ができない人にとっては役に立つアドバイスですが、普通の人にとっては無意味です。このメカニズムは、自分でやっていない人にはよくわからないために、イメージだけで言ってしまう専門家も多いのです。そして、こうした勘違いは、意外に多く流布しているかもしれませんから、鵜呑みにしないで自分で確認してみることも必要です。



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