テクノポップ/アーティストインタヴュー

ダンボール・バット~馬鹿ヌーヴェルヴァーグ(5ページ目)

このジャケで2枚のアルバムがピーンと来た貴方は、偉いです。是非ダンボール・バットの新作『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』を騙されたと思って買ってください。1200円と良心的な価格設定です!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

E.L.O.の『Time』は教科書 

ガイド:
「シュトラウスは夜に殺せ」は、自ら翳りのあるE.L.O. (Electric Light Orchestra)と語っておられますが、確かにこの爽やかさには今まで隠していたAMIさんの一面を見た気がします。僕もE.L.O.大好きなんですが、ジェフ・リンがこの曲の再録をしたいと言ってくれる事を祈っております。ちなみにジェフがプロデュースしたジュリアナ・レイのアルバム『Something Peculiar』は、僕のフェイヴァリット・ガールポップ・アルバムです。
 
AMI:
音数が多すぎてミックスに一番手間取った曲です。メンバーからはライヴで再現不可能とまで言われました(笑)。ジェフ・リンならきっと上手くサウンドを整理して、且つドラマチックにまとめあげてくれるような気がします。個人的に好きなE.L.O.のアルバムといえば、コアなファンからはあまり評価の良くない後期のアルバムです。『Time』とか『Secret Message』とか、中古レコード屋の100円コーナーでよく見かけるアルバムです(笑)。特に『Time』はポップミュージックの何たるかが全て詰まった、オレにとっては教科書のような存在で、そのギラつき具合や過剰なアレンジなども含め、多大な影響を受けた1枚です。

 

リディア・ランチをイメージしたイライザ嬢

ガイド:
「渚にて」~「アポカリプスDO OR DIE」は、70年代(広い意味での)プログレの香りがしますが、後者はイライザ・ロイヤル嬢とのデュエット。現在、彼女はエコダムド~イライザ・ロイヤル&ザ・総括リンチで活動されていますが、古くは穴奴隷、そしてPerfumeがブレイク後『バキューム』(2009年)をリリースしたイライザ・ロイヤル&アサミックス・ジュースとしても活動されていましたね。『バキューム』については以前、All Aboutで紹介記事を書きました。彼女、自らのブログで「謙遜などでは無く、自分より音痴な人間に出会った事が無いくらいの酷い音痴なのです」だと公言されていますが、そんなことは気にならなかったです。録音技術と同じく、ちょうどいい質感を生み出していたと感じましたが、AMIさんはデュエットされてどうでしたか?

AMI:
amiiraiza

AMI + イライザ

イライザ嬢とは昔から知人だったのですが、「アポカリプスDO OR DIE」が出来た段階で、なぜか彼女とデュエットしているシーンが即座に頭に浮かびまして、是非、とお願いしたのです。たまたま、リディア・ランチとローランド・S・ハワードがデュエットしているアルバムを聴いていたからかもしれません。リディア・ランチのイメージを想定して彼女には歌ってもらうことにしたのですが、奇遇にも、彼女もリディア・ランチが好きだと言うことが判明したので、話は早かったです。確かに彼女の歌の「音程」に関しては、オレの当初の予想を上回る音程感の持ち主だということがレコーディング当日に判明し(笑)、一瞬躊躇したことは事実です。が、そこはプロデューサー、エンジニアとしてのオレの腕の見せ所で、試行錯誤の末、音程のズレが彼女の「味」、ひいては楽曲の魅力として何とかギリギリのところで成立できたのではないかと自負しています。もし、彼女の歌が無かったらあの曲の魅力は半減していたと思います。
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