BMW初のクリーンディーゼル
世界的にも厳しい規制のひとつといわれる「ポスト新長期規制」をクリアしたクリーンディーゼル搭載車は、日産エクストレイルが第一号だが、三菱パジェロや最近ではマツダCX-5などクリーンディーゼル搭載車が徐々に増えてきた。
輸入車ではメルセデス・ベンツのML350BlueTECやEクラスにも設定があり、BMWでは初となるクリーンディーゼル搭載車が「X5 xDrive35d BluePerformance」。今回、350kmほど試乗できたのでレポートしたい。エンジンはBMW自慢の直列6気筒の3.0Lで、コモンレール式直噴にインタークーラー付きのツインパワーターボを組み合わせる。245ps/540Nmのスペックで目を惹くのがディーゼルの利点である分厚い最大トルクだが、X5のxDrive50iが積む4.4L V8ガソリンの407ps/600Nmは別格にしても、クリーンディーゼルと同じ3.0Lのガソリン仕様は306ps/400Nmだからクリーンディーゼルのトルクフルな走りが期待できるわけだ。
期待以上のトルクフルな走り
エンジンを始動させるとディーゼル特有の乾いたアイドリングが室内にも届くが、走り出してしまえばほとんど気にならない。信号待ちの際は、CX-5のようにアイドリングストップもしないのでラジオや音楽を流していなければカラカラと軽く音と振動が伝わるものの、クルマに詳しくなければディーゼルといわれなければ分からない、そんな程度に抑えられている。
今回乗った2列仕様車の車両重量は2.2tを超え、3.0Lのガソリン仕様よりも50kg重いが1750-3000rpmという幅広い回転域で最大トルクを発揮するとおり、動き出しからとてもスムーズで高速への合流なども余裕たっぷりという力感で加速していく。クリーンディーゼル搭載車の中にはスペックほどのトルクを感じられないモデルもあるが、看板にいつわりなしのトルクフルぶりだ。ゼロ発進からでもパーシャル域からでもボディの重さを感じさせず加速する。これだけトルクフルだとストップ&ゴーの多い街中でも走りやすいし、パワーが必要な状況下でもトルクで押し切ってしまい、モアパワーを感じさせずに高速巡航に入ることが可能。乗り心地はかなり引き締まっていて、X5らしく巨体を感じさせない身のこなしも健在だ。
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