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新・賃貸(4)~テーマはお母さんコミュニティ

震災後ますます、コミュニティづくりは住まいを考えるうえで重要な課題となっています。そうした中、子育て中のお母さんをサポートする賃貸住宅が登場しました。マイホームとしての子育て住宅は増えていますが、「子育て」というテーマを掲げた賃貸で、ハード面のみならずソフト面でのサポートも織り込んだ内容とは?

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

3.11の震災以後、地域コミュニティの重要性が再認識され、住人が助け合って暮らすコミュニティの在り方が模索されています。そのような中、子育て中のお母さんが安心して子育てを楽しむことができるコミュニティをテーマとした賃貸用商品が登場しました。

個性豊かな賃貸住宅が増えつつある

旭化成ホームズ「へーベルメゾン 母力」は、 “初めての子育て期を過ごすのに安心な住まい”を目指し、子育て期の母親たちのニーズを取り入れて設計された賃貸用新商品。

昨年6月に発売された “ペットと共に暮らす家族の快適なコミュニティ形成”をコンセプトとしたペット共生型賃貸住宅商品「ヘーベルメゾン+わん+にゃん(プラスワンプラスニャン)」に続く、“コミュニティ形成の促進をテーマとした賃貸住宅”の第2弾。「+わん+にゃん」は50棟受注目標を超えた70棟が着工されたとのことで好評のようです。
「へーベルメゾン 母力」プロトタイプ棟竣工予想図

「へーベルメゾン 母力」プロトタイプ棟竣工予想図

こうした個性豊かな商品が登場する背景には、賃貸住宅を巡る状況の厳しさがあります。「平成20年住宅・土地統計調査」によると、空家率は2008年時点で約23%、東京は約16%。賃料も下落傾向が続いています。またアットホーム調査(2012年2月)によると、1戸あたり成約賃料の首都圏平均は、賃貸マンションが8.52万円で、前年同月比3.6%下落。賃貸アパートは6.07万円で、同1.5%下落と厳しさを増しています。

人口減少という先行き不安な状況を背景に、時代を反映した入居希望者のニーズに対応し、賃貸住宅に付加価値を加える新しい試みが目立ちます。たとえば、「釘一本打てない」といった、これまで不自由だった禁止事項を取り払い、入居者が部屋をアレンジすることを許可する試みや、壁紙を選べるなど入居者好みのインテリアを提供する試み。

また思う存分、楽器を演奏できる防音仕様を施すなど、ターゲットを明確にした賃貸、あるいは人気のシェアハウスに特徴的な“コミュ ニティ作り”を前面に打ち出した賃貸など。入居者が途切れない賃貸住宅づくりには、イメージづくりやソフト面の充実が欠かせないものとなってきています。

助け合って子育てする賃貸マンション

1階は、アクセスコモン(中庭)を通って玄関へ

1階は、アクセスコモン(中庭)を通って玄関へ

核家族化の進行に伴う子育ての困難さは社会が抱える問題の一つですが、特に地縁の薄い都会では子育て中の母親は孤立し閉じこもりがち。そのストレスから児童虐待やDVも ニュースでしばしば見聞きします。

子育て家族に必要なものはなにか? 旭化成ホームズは今回の賃貸商品を企画するにあたり、お母さんたちの学び合いのネット ワーク「お母さん大学」と共同研究を行い、ナマのお母さん達の声を聞くことを試みました。

そのリサーチの結果、子育て期のお母さん達が切実に必要としているものは、
・気軽なご近所付き合い(子育てを共感し声をかけあえるような)
・見守り合い(互いの子どもを自然に見守りあえるような雰囲気)
・やりがいや充実感(地域や社会と繋がる活動に参加)
といった、ものづくり的発想とは全く違うものであったといいます。

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