モノは少なければいいというわけではない
ふだん使いの器を入れた、家具作家丸林佐和子さん作の飾り棚。
大平 数多くのお宅を訪問してわかったんですが、私がいちばん落ち着くのは、このくらいモノが見えている部屋なんですよ。でも、以前は自分に「定数主義」を課して、「靴は3足、本は5冊」と、数を厳しく制限していたこともありました。
ガイド ええっ、そうなんですか!?
大平 その頃はそれでよかったんです。でも、子供が大きくなり、暮らしのあり方も自分の好みも変わり、その持ち方では毎日が楽しくなくなっていきました。その過程でわかったのは、自分にとって必要なモノの種類も数も、刻一刻と変わっていくもので、それをその都度しっかり見直し、「更新」していかなければならないんだな、ということです。
「ふだん」をかさ上げすることが、暮らしを楽しむコツ
パパッと出てきた生春巻、タイカレー、サラダのランチ。器も素敵
凝りに凝った豪華な「おもてなし」ではなく、「せっかくだから一緒にごはん食べましょ!」という気負いのなさに、すっかりくつろがせていただきました。ふだんの暮らしを自分のために少しだけてねいにすることは、いつでも人を暮らしに招じ入れることのできる垣根の低さになる。これって、シンプルライフにとって、すごーく大切なこと! 共感することいっぱいの本、そして取材でした。
大平一枝(おおだいら・かずえ) 1964年、長野県生まれ。女性編集プロダクションを経て30歳でフリーライターとして 独立。著書は『もう、ビニール傘は買わない。』『ジャンク・スタイル』(平凡社)、 『日曜日のアイデア帖』(ワニ・ブックス)他多数。
暮らしの柄(大平さんのオフィシャルサイト)
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