「五色(ごしき)の短冊」の五色とは? 色の意味、日本文化との関係
五色(ごしき)という言葉を聞いたことはありませんか? 日本の文化に欠かせないものなのに、意外と知らないことばかり。こんな素朴な疑問がわいてきます……子 「七夕のうたに出てくる五色の短冊って何色?」
母 「赤、青、黄色……」
父 「それじゃ信号。ほかに白と黒が入るんだよ」
子 「お父さん、物知り~」
父 「鯉のぼりの吹き流しも五色なんだよ」
母 「へ~。何か意味はあるのかしら?」
父 「もちろん。意味を知るとおもしろいよ」
では、五色にはどんな意味があるのでしょう……
「五色」の5色は何色?
五色は、青・赤・黄・白・黒(玄)の5色です。ただし、染料や色彩認識の関係で、昔も今も青は緑、黒は紫で表されることが多いので、実際には緑・赤・黄・白・紫になっていることもあります。五色の意味・由来は?
五色は、古代中国の陰陽五行説に由来します。陰陽五行説とは、万物は「陰・陽」の二気、「木・火・土・金・水」の五行で成り立ち、これら陰陽五行の要素で世の中は回っているという思想で、日本の文化に深く関わっています。この五行を色で表したものが五色で、「青・赤・黄・白・黒」の5色となっており、「木=青、火=赤、土=黄、金=白、水=黒」です。
五色のほかにも、方角を表す五方、季節を表す五時、人の徳目を表す五常(五徳)、人の感覚器官を表す五官など、あらゆるものが五行に配されています。
【五行】【五色】【五方】【五時】【五常】【五官】【五獣】
木 = 青 ……東 …… 春 …… 仁 …… 目…… 青竜
火 = 赤 ……南 …… 夏 …… 礼 …… 舌…… 朱雀
土 = 黄 ……中 …… 土用 … 信 …… 口…… 黄麟
金 = 白 ……西 …… 秋 …… 義 …… 鼻…… 白虎
水 = 黒 ……北 …… 冬 …… 智 …… 耳…… 玄武
五色は日本の文化でどう使われているの?
あっ、神社の吹き流しも五色! こうした発見がおもしろい
土俵上の吊り屋根の四隅には、東西南北に青・赤・白・黒の「四房(しぶさ)」があり、中央が黄となります
ほかにも、寺社に行けば五色のものがたくさんありますし、相撲の土俵の上には、東に青、西に白、南に赤、北に黒の房がさがっており、中央の土俵が黄にあたります。
また、ものに限らず、春夏秋冬を青春、朱夏、白秋、玄冬と表現するなど、さまざまなところに五色が使われているのです。
五色の楽しみ方って? 色の意味に願いを込める
このように、日本の文化には五色のものがたくさんあるので、五色の知識を得ることで、見る目が変わってくるでしょう。今までは単にカラフルだな~と感じていただけなのに、意味を知るとその価値がわかるようになります。さらに、見つけるだけでなく、五色の意味を活かしてみてはいかがでしょう。たとえば、端午の節句に折り紙で兜を作る場合、五常の意味を踏まえて色紙を選んでみます。「仁=青、礼=赤、信=黄、義=白、智=黒」なので、思いやりのある子に育って欲しいなら青、礼儀正しい子に育って欲しいなら赤を選ぶと、思いを託すことができるわけです。とくに五節句は家族の幸せを願うものなので、色に思いを込めると深みが増してくるでしょう。
また、お守りや占いは陰陽五行説がベースになっているものが多いので、五色の知識が役立つはず。色で運を引き寄せることもできるでしょう。
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