独自の乗り味を築こうとするかのよう
直噴2.8リッターV6は最高出力204ps/最大トルク280Nm、直噴3リッターV6スーパーチャージャーは310ps/440Nmとなる。アイドリングストップやエネルギー回生システムなどを備え、10・15モード燃費は2.8が11.8km/l、3.0が11.2km/lに向上している
メルセデスやBMWが“走り”に関して保守を貫こうとしているに対し、アウディは今、全力で独自の乗り味を築こうとしているかのようだ。
新しいA3にはまだ触れていないので分からないが、マイナーチェンジしたA4と比べてみても、A6のライドフィールには“ひとクラス”上を実感させる奥ゆきがあった。これまでのアウディは、どちらかといえばドライに徹する方で、潤いが足らなかったのだが、新しいA6アバントには、それがあった。とうとう、アウディが潤ってきたのだ。
V6エンジンの軽快なフィールには、芯の太さも感じられるようになったし、アジャイルな前アシの動きにも、自然なタメができてきた。加速時の力強さや、高速走行時の安定感には、全てを任せていいと思えるだけの余裕があって……。
今、最もアウディらしい最新モデル
エンジンやサスペンション、パワーステアリングのアシスト量などを最適化させるアウディドライブセレクトも標準で装備。コンフォート、ダイナミック、オートに加えドライバーの好みに合わせて設定できるインディビジュアルを用意。3.0には低燃費を追求するエフィシエンシーも備わった
A1、A3、A4が今、日本におけるアウディのメインの顧客層である。彼らがA6にステップアップするには、もう少し時間がかかるだろう。Q5やA5スポーツバックといった、よくできた“脇道”も用意されているのだから尚更だ。けれども、今の右肩上がりの人気がもう少し続いたならば、“隣と同じアウディ”で我慢出来ない層が、膨らむのは確実だ。そのとき、よくできたA6の存在は武器になる。
もっとも、輸入車好きならば、それを先取りしておくのも悪くない。何しろ、A6には、アウディが今取り組んでいる最先端の数々(ハイブリッドボディなど)が散りばめられている。言ってみればA6は、今、最もアウディらしい最新のアウディ、なのだから。