Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

走りが潤ってきた、“期待に応える”A6アバント(2ページ目)

近年のブランドの好調さを背景にかつてなく大きな役割を担って登場した、プレミアムブランドで名実共に中心となるEセグメントのA6。新たに登場したアバントもセグメントにふさわしいクオリティと、アウディらしいテイストが、高レベルで融合しています。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

独自の乗り味を築こうとするかのよう

アウディA6アバント

直噴2.8リッターV6は最高出力204ps/最大トルク280Nm、直噴3リッターV6スーパーチャージャーは310ps/440Nmとなる。アイドリングストップやエネルギー回生システムなどを備え、10・15モード燃費は2.8が11.8km/l、3.0が11.2km/lに向上している

新しいA6アバントに乗ってみても、Eセグメントにふさわしいクオリティと、アウディらしいテイストが、高いレベルで融合しているのが分かる。エクステリアの仕上げや、インテリアの見栄え質感は、独プレミアムブランドのなかでも最高位にランクされるものだし、パワーフィールやハンドリングなどすべてにおいて軽快な味つけは、いかにも最新アウディらしさに満ちている。

メルセデスやBMWが“走り”に関して保守を貫こうとしているに対し、アウディは今、全力で独自の乗り味を築こうとしているかのようだ。

新しいA3にはまだ触れていないので分からないが、マイナーチェンジしたA4と比べてみても、A6のライドフィールには“ひとクラス”上を実感させる奥ゆきがあった。これまでのアウディは、どちらかといえばドライに徹する方で、潤いが足らなかったのだが、新しいA6アバントには、それがあった。とうとう、アウディが潤ってきたのだ。

V6エンジンの軽快なフィールには、芯の太さも感じられるようになったし、アジャイルな前アシの動きにも、自然なタメができてきた。加速時の力強さや、高速走行時の安定感には、全てを任せていいと思えるだけの余裕があって……。

今、最もアウディらしい最新モデル

アウディA6アバント

エンジンやサスペンション、パワーステアリングのアシスト量などを最適化させるアウディドライブセレクトも標準で装備。コンフォート、ダイナミック、オートに加えドライバーの好みに合わせて設定できるインディビジュアルを用意。3.0には低燃費を追求するエフィシエンシーも備わった

もちろん、欠点もある。A4ではゆるせたSトロニック(DSG)のマナーも、このクラスでは受け入れられない。低速域でのやや雑な制御や、前のめりに過ぎるシフトアップ制御など、ここにももう少し潤いが欲しいところ。そのあたりが煮詰まってきてはじめて、1000万円というプライスタッグにも納得性が出てくるはず。

A1、A3、A4が今、日本におけるアウディのメインの顧客層である。彼らがA6にステップアップするには、もう少し時間がかかるだろう。Q5やA5スポーツバックといった、よくできた“脇道”も用意されているのだから尚更だ。けれども、今の右肩上がりの人気がもう少し続いたならば、“隣と同じアウディ”で我慢出来ない層が、膨らむのは確実だ。そのとき、よくできたA6の存在は武器になる。

もっとも、輸入車好きならば、それを先取りしておくのも悪くない。何しろ、A6には、アウディが今取り組んでいる最先端の数々(ハイブリッドボディなど)が散りばめられている。言ってみればA6は、今、最もアウディらしい最新のアウディ、なのだから。
アウディA6アバント

ナビやオーディオなどを統合制御する、タッチパッド付きMMIタッチを装備。ラゲッジ容量は565~1680リッターとなる

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