カフェ/三軒茶屋・駒沢・下北沢・荻窪のカフェ

uneclef(ユヌクレ)…豪徳寺(3ページ目)

緑道に面した小さくて魅力的なブーランジェリー・パティスリー・カフェをご紹介します。パン好きのみならず、カフェ好きの人々の心を魅了してやまない空気感。カフェスペースで楽しむパンや焼き菓子のお伴は、アマメリアエスプレッソのコーヒー豆とヴィビエンメのマシンで抽出するラテやアメリカーノです。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

5月の空のような焼き菓子たち

ユヌクレの焼き菓子は農薬不使用の国産小麦粉を基本に、健康を意識した視点を持ちながらもそれに縛られすぎることなく、表現したい味に応じてきび砂糖やグラニュー糖、バターなどを使い分けています。

私が受けたユヌクレのお菓子の印象をひとことで表現するなら、5月の明るい空を連想する味。商品のひとつひとつにファンがいますが、とくにスコーンやマフィンは大人気。
(上段)東日本大震災後、生まれ故郷である宮城を想ってつくられた四つ葉のクッキー。(下段)香ばしいビスコッティ。

(上段)東日本大震災後、生まれ故郷である宮城を想ってつくられた四つ葉のクッキー。(下段)香ばしいビスコッティ。

焼き菓子を担当する佐藤務さんは宮城県生まれの名古屋育ち。伊藤さんとは「おいしいものの食べ歩き」という共通の趣味で結ばれた二十年来の友人です。

さまざまなパンを食べ歩くうちに、そのかたわらに置かれている焼き菓子の魅力に惹かれていった佐藤さん。
「焼き菓子の魅力は、あったかさ、やさしさ、のんびり感。 自分が休日に食べてほっとするのは、洗練された冷たいケーキじゃなくて、あったかい焼き菓子だったんです」
カウンターの椅子は北欧の古いもの。

カウンターの椅子は北欧の古いもの。

伊藤さんがパン修行のため上京するタイミングで、佐藤さんも東京生活をスタートしました。音大出身で一時は音楽の道を志していたことから、音楽関連の事務所に勤務。そのかたわら、東麻布の菓子工房ルスルスの焼き菓子教室で基本を学び、自分で焼いたお菓子を周囲の人々にプレゼントして喜ばれるようになりました。

「でも、友だちから率直な感想を聞くのは難しいでしょう?」
おいしさに磨きをかけたいと、つてをたどってなるべく遠い人々に贈り、客観的な感想を聞いて参考にしたそうです。その後、かぐれのイベントなどに焼き菓子を出品し、多くの人々から好評を博するように。
ラテづくりは佐藤さんが担当。ごゆっくりどうぞ、とお客さまに声をかけていました。

ラテづくりは佐藤さんが担当。ごゆっくりどうぞ、とお客さまに声をかけていました。

佐藤さんがめざすのは、伝統菓子の型にはまりすぎない独自のスタイル。定番にその作り手ならではの個性のスパイスを加えた焼き菓子です。
人気の高い「黒糖胡桃のスコーン」は、表面はさくさく、中心部は少ししっとりした食感。少し温めると、たまらない香りがいっそう際だち、自宅おやつの定番にしたくなる名作です。

お店では販売もカフェのドリンクづくりも担当するので、佐藤さんのお菓子づくりの時間は毎朝4時から8時までの4時間と、閉店後の2時間ほど。ひとつひとつ手作業でおこなう工程が多いため大量には作れませんが、自分ひとりで作れる量を大切にしていきたいと話してくれました。

ユヌクレのカフェメニューとショップデータは次ページで。
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