実力派ビストロの粋な朝食

カウンターに焼きたてのクロワッサンやカヌレが並びます。

カウンターに焼きたてのクロワッサンやカヌレが並びます。


代々木公園駅のほど近くに誕生してたちまち人気店となったPATH(パス)は、料理も空間も粋なセンスに溢れた最高のビストロ。午前8時から14時までは朝食とブランチを提供しており、そのおいしさと心地よさで2015年12月のオープン以来、話題を呼んでいます。

五つ星ホテルのような朝食ではなく、日常にふさわしい上等の朝食。どこかニューヨークやヨーロッパの料理自慢の洒落たカフェを思わせる香り。ランチを設けず、朝昼を通して同じメニューなのも海外のスタイルを思わせます。
自家製ハムとカマンベールのサンドウィッチ

自家製ハムとカマンベールのサンドイッチ


たとえば、自家製のパン・ド・カンパーニュに分厚いカマンベールと自家製ハムを悠然とはみ出させた極上のサンドイッチ。バターが香るさっくりした焼きたてのクロワッサン。ザクロの美しい紅色が映える新鮮なサラダ。

コーヒーは2種類、Little Nap COFFEE STANDのしっかりした飲みごたえのある豆、またはFuglenの軽やかで果実感の強い豆を選ぶことができます。

ケール・キヌア・ザクロのサラダ

ケール・キヌア・ザクロのサラダ


午前10時、生ハムとブッターラを添えたダッチパンケーキを店内でゆっくり味わう人々もいれば、小さなテラスで犬といっしょに空を見上げながらコーヒーとクロワッサンを楽しむ人もいる。パンだけをテイクアウトしていく人もいます。

ご自由にどうぞ!――そんな風が吹くご機嫌な風景が早くも街の人々のライフスタイルに根づいているのを見ると、近くに引っ越したくなるのです。

店内の手前はオープンキッチンとカウンター席

店内の手前はオープンキッチンとカウンター席


オーナーはBistro Rojiura(ビストロ ロジウラ)を成功させた原 太一さんと、フランスのメゾン トロワグロでレストランパティシェとして活躍した後藤 裕一さん。腕利きの二人です。

「PATHはBistro Rojiuraをやりながら考えていたことや、後藤と話して意気投合したことを実現したお店。Tシャツに短パンのような気軽な格好で、すごくおいしいフレンチのコースを食べられたらいいでしょ」

自らもTシャツ姿でキッチンに立つ原さんはそう語り、「もちろん、時にはスーツで決めてかっちりしたレストランに行くことを僕も楽しんでいますが」と言い添えました。

空間の魅力

奥のテーブル席を照らすランプ

奥のテーブル席を照らすランプ


アメリカのビンテージ家具。モルタルをコーティングしたカウンター。薄緑色の腰板やタイル。外観も内装も何気ないディテールへのこだわりが光ります。

「海外の郊外にありそうなお店をイメージしていますが、特定の都市らしさを狙ったわけではありません。手前のバーカウンターにはワインバーのように立ち呑みしている人々がいて、奥の着席スペースではしっかり食事をしている人々がいる。海外旅行でそういうお店をよく見かけて、いいなと思っていました」

キャリアの原点はカフェ・カルチャー

扉の取っ手に小さな店名の刻印

扉の取っ手に小さな店名の刻印


原さんが最初に考えていたのはカフェ開業でした。10代後半にカフェ熱が街中を席巻。大学時代に渋谷のカフェで2年間働き、現場の空気を掴みました。
「インテリアやデザイン、音楽などのカフェ・カルチャーに憧れて刺激を受けました。当時はNeuf cafeやNid cafeが好きでしたね」

自分なりに空間を構築することに興味を抱いてカフェ開業を計画。しかし、内装や音楽はイメージできても料理に関してはまだまだ。そこで大学卒業後、まず有名フレンチの厨房で3年間に渡って修行を重ね、さらにカフェやビストロ勤務を経て、最後は新宿のキュイジーヌ[S]ミッシェル・トロワグロに1年ほど勤務。その時代に同僚だったのが渡仏前の後藤さんでした。

クロワッサン生地を作る後藤さん

クロワッサン生地を作る後藤さん


「修行中に食の面白さに開眼して、カフェ飯よりも手のこんだ料理、お酒を飲みながらしっかり楽しめるおいしい料理の提供を考えるようになったんです」

そして2011年秋、フレンチの技術を活かした料理とビオワインに、カフェ由来の空間作りのセンスを組み合わせて、Bistro Rojiuraを渋谷・宇田川町の文字通り路地裏にオープン。ミシュランガイド東京でもビブグルマンに選出されています。

気持ちのいいライフスタイルの場として

小さな黒板の言葉は毎月書き換えられます。

小さな黒板の言葉は毎月書き換えられます。


さて、新しい舞台のPATHではなぜ朝食を提供しているのでしょう?

「僕自身、朝早起きしてコーヒーを飲みに行くのが好きで、海外旅行中もモーニングを楽しむのは気持ちのいい時間だと感じていました。それをやりたいと後藤に言ったら、すぐにその感覚をわかってくれて。いつも『これどう?』『あ、いいね!』という軽いやりとりで進めています(笑)」

細長い店内の奥に設けられた食事スペース

細長い店内の奥に設けられた食事スペース


レストランの厨房での過酷な修行中、おいしいものを作る人々の顔がちっとも幸福そうに見えないことに疑問を抱いていた原さん。PATHでは快適な働き方ができる環境を目指すと共に、「飲食店にはランチメニューが必要」といった類の枠にはまった考え方からの脱却を提案しています。

いきいきと働き、雰囲気のいい空間でおいしい料理を楽しんで、きちんと休む。そんな暮らしは誰にとっても大切な人生の基本であるはず。つきつめて考えれば、PATHが支持を集めているのは、気持ちのいいライフスタイルがそこに感じられるからなのでしょう。

原さん(右)と後藤さん(左)

原さん(右)と後藤さん(左)


シェフとパティシェの底力が発揮される夜のコースには、遊びのある素材の組み合わせや新しい調理法が盛り込まれています。

原さんいわく、誰が食べてもおいしく感じられるわかりやすい一皿と、攻めの一皿で緩急をつけながら、コース全体でひとつの流れを作り上げるのだそう。盛り付けにしても、華やかな色彩のお皿の後に、シンプルに徹した、たとえば白一色の料理をもってくるなどして、「一皿ごとに完結させるのではなく、トータルでバランスをとっています」。

幸福な朝食が気に入ったら、ぜひ夕食も楽しみに出かけてみてください。

夜の一例。鰆、ホタルイカ、マコモダケの組み合わせ

夜の一例。鰆、ホタルイカ、マコモダケの組み合わせ


menu

Morning - Brunch [5月の例]

自家製グラノーラ 700円
ダッチパンケーキ 生ハムとブッターラ 1500円
ケール/キヌア/ザクロのサラダ L 980円/S 620円
春野菜と大麦のスープ チャパタ付 850円
挽肉と豆とトマト煮込み ピタパン付 1200円
自家製ハムとカマンベールのサンドイッチ 980円
クロワッサン 290円
パン オ ショコラ 340円
マドレーヌ 200円
フィナンシェ 240円
カヌレ 300円
コーヒー 350円

Dinner

コース 5800円(ワインペアリング+4200円)
[5月の例]
サーモン 甘夏
つぶ貝 新玉ねぎ オリーブ
ういきょう 青りんご 塩辛
鰆 ホタルイカ マコモダケ
富士の鶏 うすいえんどう ふきのとう
パール柑 ココナッツ カルダモン
山羊乳 ピスタチオ ブラックベリー

shop data

PATH(パス)
【住所】東京都渋谷区富ヶ谷1-44-2 A-FLAT 1F
【TEL】03-6407-0011
【OPEN】8:00~15:00(LO14:00)、18:00~24:00 (LO 23:00)
【CLOSE】月曜、月一回日曜不定
【最寄り駅】千代田線「代々木公園」駅徒歩4分/小田急線「代々木八幡」駅徒歩5分
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。