果物を冷やすのはなぜ?
果糖やブドウ糖は、分子の構造上、α型とβ型があり、甘さも違います。ブドウ糖は、α型の方がβ型より甘く、その強さは約1.5倍。逆に、果糖は、β型の方がα型より甘く、その強さは約3倍と言われています。この比率は、果糖の場合温度による影響を受け、低温ではβ型になり甘味が増え、また高温ではα型になって甘味も減少します。また温度は糖度ばかりでなく甘さを舌で感じる時間にも影響するそうです。温度が低いほど甘味を感じる時間が長く続きます。ということから、果糖が多く含まれている果物の多くは、冷蔵庫で冷やした方が甘味が強く、長く感じられ、おいしく食べられるということです。
糖類の構成比は果実によって様々に異なります。「果物と健康の知識」によると、果糖が多い果物にはリンゴ、日本ナシ、ビワなどがあり、ブドウ糖が多い果物にはオオトウ、ウメなど、ブドウ糖と果糖がほぼ等量なものはブドウ、イチゴなど、ショ糖が多い果物は温州ミカン、バレンシア・オレンジ、グレープフルーツ、ナツミカン、カキ、モモ、スモモ、バナナ、パイナップルなどがあります。
果物の多くは100g当りのカロリーは低め
主な果物は、糖質の他に水分や食物繊維が多く、脂質やタンパク質等が少ないため、100g当たりのカロリーは30~70kcal程度のものが多いです。肉 や魚類、糖分と脂質の多いケーキ類と比べるとカロリーが低めで、しかもビタミンやミネラルなども多く含まれています。また食物繊維等、ポリフェノールやカ ロテノイドなどのファイトケミカルも含まれています。以前は、甘い果物を食べると太りやすいと誤解されたり、肥満からの生活習慣病にはよくないと誤解されがちでしたが、今では果物を食べることが健康維持に役立つこと、肥満につながらないことなどの研究も数多く報告されています。
「健康日本21」では、1日の果物の摂取量は200gを目標としていますが、「平成21年度国民健康・栄養調査結果」では113gの摂取量でした。60歳代以上では150g程度摂取していますが、15歳~49歳までは100gにも足りていません。
もしダイエットのため、甘い果物はカロリーが高いのでは?と思い込んで控えていたとしたら、安心して食べてください。
私は、朝に、おやつに、またサラダなどにと、ただ切って食べるだけでなく、肉や魚のメイン料理に加熱して組み合わせると、甘味と酸味で味が深まるので、いろいろな組み合せを楽しんでいます。
もちろん健康に有効な栄養成分が含まれているからといって、極端に果物だけを食べれば栄養が偏り、食べ過ぎれば肥満につながりますので、ほどほどに。
参考/
・果物ではじめる健康生活毎日くだもの200グラム!(果物普及啓発協議会)
・「果物と健康の知識」毎日くだもの200グラム!(毎日くだもの200グラム運動指針8訂版)
・v350f200.com(野菜等健康食生活委員会)
・甘味料の 「甘さ」 について(精糖工業会)
・分子構造による甘さの違いお砂糖豆知識(独立行政法人農畜産業振興機構)
・フルーツセーフティ(社団法人日本青果物輸入安全推進協会)
・平成21年度「国民健康・栄養調査結果」(厚生労働省)
その他