甘味の強さが高カロリーの目安ではない
品種改良や技術の向上で、糖度の高いおいしい果物が増えました。
果物の甘さを構成するものは単純ではありません。まず甘味の素となる糖質ですが、果物には、果糖やブドウ糖、ショ糖などの糖質が含まれています。しかし、種類によって甘味の強さが異なり、糖質の総量がすなわち実際に食べてみて感じる甘味として計ることはできません。そこで果物の糖度を判断するために、中間の甘味であるショ糖の量を目安としています。
糖質の中でも特に果糖は甘味を強く感じる糖質で、ショ糖の1.2倍~1.5倍です。果物によって含まれている果糖、ショ糖、糖質の割合はそれぞれ異なります。糖質の含有量は同じでも果糖の比率が高い果物ですと、甘味を強く感じることもあります。ですから、甘味が強いからといって、カロリーが高いとはいえません。
また甘味だけですと淡白ですが、適度なバランスで酸味が含まれていることで、より深みのある甘味を感じま す。近年の農業技術が進み、糖度を高め、ほどよい歯ごたえ(果肉質)、そして酸味や香り成分とのバランスを計り、おいしい果物が生産されています。甘くおいしいと感じられる果物は増えたけれど、食品成分表の四訂と五訂を比べてもカロリーはほとんど変わっていません。
バナナが追熟して甘くなってもカロリーは変わらない
また一つの個体が追熟することで甘味が増す場合はどうでしょうか。例えば、やや青っぽくかたいバナナを買った後、黄色く柔らかく熟すまで日をおくと、甘味も増してきます。一般に未熟な果物は、ブドウ糖がいくつもつながったデンプンが多く含まれます。デンプンは甘く感じられませんが、生育や熟すプロセスで酵素によってデンプンが糖類に分解されると、甘く感じられるようになります。
デンプンも糖も同じく、体内では1g当り4kcalの熱量を生み出すと計算されますから、もともとあったデンプンが追熟で甘く強く感じられる糖に変わっても、カロリーは変わりません。