100年店ランチ/東京の100年店ランチ

総本家 更科堀井(そば/麻布十番/創業1789年)(2ページ目)

江戸時代から続く「更科」そばの系譜。人を辿るとこちらの一店に。今回は、麻布十番のそば店「総本家 更科堀井」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド

高級感ある白さに目を奪われる名物「さらしなそば」

さらしなそばとかき揚げ

かき揚げとさらしなそば

店内へ入ると、手前に変形六角形の大きなカウンターテーブルがあります。ここは主に1人や2人の客が通されます。そのテーブルを囲むように座敷やテーブル席が配置されています。奥にも結構席はありますね。

この日は開店間もない時間に1人で訪れた関係で、カウンターに通されました。数あるメニューの中で、「かき揚げもり」(1690円)に目がとまります。気分的に同店名物の白い「さらしなそば」を食べたくなり、そばを“もり”ではなく“さらしな”に変更できるかどうかを店員に確認しました。「もちろんできます」とのこと。もりとさらしなの差額、100円をプラスするかたちで、「かけ揚げさらしな」を待つことに。

江戸城、皇居にも出前を行っていた同店のさらしな

江戸城、皇居にも出前を行っていた同店のさらしな

かつて江戸城や大名屋敷への出入りを許されていたという同店。さらしなそばは、いわゆる「御前そば」で、そばの実の芯の部分、15%程度の粉を使用した真っ白な細打ちです。私は基本的にはしっかりとそばの香りがする田舎そばのようなタイプが好きなのですが、たまに思い出したように、さらしなの白いそばを少し甘口の汁で食べたくなります。

運ばれてきたそばとかき揚げ。透明感のあるさらしなは、貴婦人のような想像していたそれ。厚みがあり、丸く仕上げられたかき揚げがまた食欲をそそります。箸の先で簡単にほぐすことができるかき揚げは、揚げ具合も絶妙で、気品あるそばと交互にいだたきながら、じっくりと堪能。しかし、上品なセットです。そばの量はそれほど多くはないので、がっつり食べたい人は大盛りや、せいろ2枚がいいかもしれませんね。

天ぷらとそばのセットは「かき揚げもり」以外に、「小海老天もり」、「車海老天もり」があり、いずれも1690円です。

年間20種類以上の多彩な季節メニュー

春先にお目見えする季節メニュー「蛤そば」

春先にお目見えする季節メニュー「蛤そば」

同店では、年間を通じて20種類以上提供される期間限定メニューもまたおすすめです。さらしなそばに、旬の食材を打ち込んだ色鮮やかな冷たい変わりそばと、旬の食材そのものが使用される温かい季節のそばです。

一品料理で人気の「玉子焼」

一品料理で人気の「玉子焼」

先日友人と日曜日に訪れた際にいただいたのが、毎年春先に登場する温かい「蛤(はまぐり)そば」(1680円)。こちらのメニュー“単品”狙いで、私は2年連続で訪れています。口を開けた大きなハマグリが殻ごと3つ入ったそばは、ほのかな香りとともにそのビジュアルでヤラれます。

同時期には「蛤そば」以外に、あさりの「深川そば」(1470円)や、たけのこの「若竹そば」(1470円)がありましたが、いずれも興味深いですね。さまざまな老舗店巡りをしていて、「すし店」、「天ぷら店」もそうですが、「そば店」は季節や旬を楽しめることも大きな魅力の1つです。

 

麻布十番から歩くと同店奥には六本木ヒルズの姿も

麻布十番から歩くと同店奥には六本木ヒルズの姿も

同店は年中無休で、昼と夜の間に休憩のない“通し営業”なので、思い立ったら向かえるのも嬉しいところ。ホームページでは、随時季節のメニューを更新しているので、食べ歩きをする前に「今は何のそばを出しているのか?」をチェックするのもいいかもしれません。

老中・松平定信による寛政の改革の最中、創業したそば店で、ランチはいかがでしょう?

■総本家 更科堀井
住所:東京都港区元麻布3-11-4
TEL:03-3403-3401
営業時間:11:30~20:30
定休日:年中無休
地図:Yahoo! 地図情報
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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