最良の音楽はエンジンサウンドなのだけれど……
ジュリエッタには3つのグレードがある。左右2本出しのエンドパイプをもつこのクルマは最上級のクワドリフォリオで、6段マニュアルギアボックスのみ。その下に、1.4リッターマルチエアターボ+2ペダルTCTミッションを積むコンペティチオーネとスプリントが用意されている
それは、たとえていうなら映画のようなものだ。主人公がアメリカンV8か何かでマンハッタンに向かう橋を渡っている。ドドドドドとエンジン音が聞こえているが、そこに映画の主題曲も被さっている。どちらの音も観客にははっきりと、混ざることなく聴こえてくる。
そんなシーンの銀幕の主人公になったかのような“いい気分”を、ボーズのスピーカーシステムを積んだ、ドライビングファンでエンジンサウンドのいいクルマであれば、いつでも味わえるというわけだった。
東京ドライブでいうならば、たとえば丸の内のオフィスビル街を駆けるとき、たとえばレインボーブリッジを渡るとき、たとえば表参道の木立ちを抜けるとき……。
人かげもそろそろ増えはじめ、ドライブにつかう神経により細やかさが要求されるころ、ボリュウムをそっと絞る。それでも、楽器の音のひとつひとつ、特に低いベースやドラムの音までが、しっかりと耳に届く。音量は下がっても、音楽そのもののボリュウムは、下がらない。そこもまた、ボーズシステムの魅力だったりする。
ドライブにおける最良の音楽は、クルマそのものの発する音と振動だ(ああ、EV時代になったらどうしよう……)。決してミュージックじゃない。だからボクは、クルマを、自宅のリビングよりはるかに定量的であるという理由だけで、オーディオシアターのように仕立てることには、だんこ反対だ。けれども、音楽がドライブを盛り上げてくれることもまた事実で……。
だからこそ、その両立を望む。クルマとミュージックの音の共存を。ボーズなら、それが可能である。
(写真/小川義文)
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