私たち消費者も事業者とともにできること
では私たち消費者には何が求められているのでしょうか。事業者側の立場として、特に個人経営の飲食店などでは、「食べ残しはしないように」などということをお客様に求めることは言い難い、それによって「客離れが起こるのでは?」という不安があるというような声も聞かれました。私たち消費者は、食べ残ししないために、「量を減らしてもらいたい」など、こちらからも声がけをしていく姿勢が必要なのではないでしょうか。
またドギーバッグなどの普及は、いま一つ積極的には進んでいないようですが、これも持ち帰った場合に食中毒を懸念するため、お店からも薦め難いようです。生ものの持ち帰りは断るなどして品質的に問題のない食べ残しは、客の自己責任であることを理解した上で、食べきる目安の日時などの情報提供などはお互いに確認したいものです。
過度な鮮度志向が食品ロスを増やす
平成19年度食品ロス統計調査で「食品を使用せずに廃棄した理由(複数回答)」を聞いたところ、「食品の鮮度が落ちた」との回答が55.4%と最も多く、次いで「消費期限・賞味期限が過ぎた」が41.0%となっています。買い物に出かける前に何がどれくらい残っているのかという在庫を確認しないことにより、必要以上に余分なものを購入したり、食品を仕舞い込んだままにして期限切れになり廃棄される場合があると考えられます。お掃除がてら、食品ストックのこまめなチェックを習慣づけたいと、ガイドも思います。
また農林水産省 食品ロスの削減に向けた検討会がまとめた「食品ロスの現状とその削減に向けた対応方向について―食品ロスの削減に向けた検討会報告ー」を見ますと、消費者は期限表示についての理解が不十分ではないかと、また鮮度志向が過度に過ぎることも食品ロスにつながると示されています。(以下引用)
- 平成18年度食品ロス統計調査で、消費者が「食品の無駄を少なくするために購入の際に気をつけること(複数回答)」を聞いたところ、「製造年月日が新しいものや賞味期限・消費期限が長いものを選ぶ」が72.5%と最も高くなっている。
- これは、消費者が家庭での使用期間をできるだけ長く確保するための合理的な行動と言えるが、他方、直接廃棄の理由として「食品の鮮度が落ちたから」という回答が最も多いことと併せて考えると、消費者が加工食品も含め食品一般に鮮度を求めているとも考えられる。
- 消費者が食品に鮮度を求めるのは当然のことではあるが、過度な鮮度志向は食品ロスの要因となる。
消費期限が表示されている食品は、期限を過ぎると品質の劣化により安全性を欠く可能性が高いので食べないようにすべきですが、賞味期限は「おいしく食べることができる期限」であり、この期限を過ぎても、直ちに食べられないということではありません。しかし、消費期限と同様に、賞味期限が過ぎると食品を廃棄するという回答が多く見られたそうです。
消費者は賞味期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではないことを理解して、見た目やにおいなどの自分の五感で食べられるかどうかを判断することも必要です。
皮や葉など、食べられる部分を必要以上に捨てずに食べられるように工夫をすることは、ゴミを減らすだけでなく栄養も無駄なくとれます。ただし、こうしたロスを出さないために苦行のようにするものではなく、おいしく食べるために工夫する楽しさが感じられるようになることが生活に定着するポイントだと思います。
関連リンク
・食糧自給率以外の課題・・・飼料自給率とエコフィードとは(食と健康)
・あまった食べ物を有効活用!フードバンク(食と健康)
参考/
・食品廃棄物等の利用状況(平成20年度推計)<概念図>(農林水産省)
・食品廃棄物等の発生量及び再生利用等の内訳(農林水産省)
・食品ロス削減にむけて(農林水産省 食品ロスの削減に向けた検討会)
その他