絵本でクラシック音楽を楽しむ
クラシック音楽というと、どことなく高尚で敷居が高く感じられるという方も多いようですが、絵本の中には、クラシックをモチーフに、あるいはそれらを原作として作られたものが少なくありません。絵本作家という「芸術家」を通して語られる音楽の世界には、発見がいっぱいです。絵本の中に、音楽を聴くだけでは気付かなかった視点や驚きを見出せることもあり、鑑賞の幅が広がることもまれではありません。忙しい毎日の中、時には、お気に入りの絵本を開きながら、原作のCDに耳を傾ける……そんな贅沢な大人の時間を演出してみませんか。原作に負けない完成度を持つ以下の2冊なら、至福の時を約束してくれそうです。
■魔笛
フランクフルト歌劇場でオペラ『魔笛』を上演する際、美術演出を手掛けたミヒャエル・ゾーヴァが、その時の舞台美術や衣装の草案をもとに作った絵本です。ゾーヴァならではの独特の世界観で作り上げられた『魔笛』は、オペラとはまた違う、絵本ならではのシュールな魅力を放ちます。
【書籍DATA】
那須田淳:文 ミヒャエル・ゾーヴァ:画
価格:2100円
出版社:講談社
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■白鳥の湖
チャイコフスキーの名作『白鳥の湖』をもとにして、これまでたくさんの絵本が作られてきました。中でもヴェルガーの作品は秀逸です。ツヴェルガーの絵本の結末は、悲恋で終わるバレエのそれとは違いますが、物語の流れに違和感はありません。けれども一見可憐で優雅に見えるその絵には、不気味でグロテスクな面もあり、1人2役で踊られるオデットとオディールを連想させ、物語に深みを与えています。翻訳も美しく、まさに大人のために作られた絵本といってよいでしょう。
【書籍DATA】
ピョートル・チャイコフスキー:原作 リスベート・ツヴェルガー:絵 池田香代子:訳
価格:1575円
出版社:ブロンズ新社
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