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家を買いたい人は聞け! ある不動産営業マンの呟き

消費税の増税前に、各種優遇税制があるうちに、家を買おうという人の動きが活発化しています。(建物は消費税課税対象)しかし不動産業者の中にはなりふり構わない営業姿勢の業者もいます。業者の思考を知れば、彼らのトークに乗せられず冷静に判断できるのでは? 彼らの本音をつぶやき形式でご紹介します。

午堂 登紀雄

執筆者:午堂 登紀雄

ニューリッチへの道ガイド

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消費税の増税前に、各種優遇税制があるうちに、家を買おうという人の動きが活発化しています。(建物は消費税課税対象です)
家を買うことは、老後の家賃の先払いといった側面がありますから、将来の安心感を得るために買う人もいるようです。
しかし、一般庶民の財布が苦しいのと同様、不動産業者の懐具合も苦しい。
そのため、なりふり構わない営業姿勢の業者もいます。

というわけで、業者の本音と思考を知れば、彼らのトークに乗せられず冷静に判断できるのではないかと考え、彼らの「つぶやき形式」でご紹介します。

騙すつもりの業者はほとんどいないですよ

「僕は不動産会社の営業マンです。新築マンションや、新築戸建住宅を売っています。といっても、基本的にほかのサラリーマンと同じで、売るのが仕事です。
たまたま商品が不動産だっただけ。よく、不動産業者に騙されたって話、ありますよね。確かに強引な人はいますが、騙すつもりで売る人は、現実にはほとんどいません。

たとえば外車の営業マンが、「外車は故障が多いから勧めません」ということはないのと同じで、良い物件か悪い物件かは、人によって感じ方が違います。

ダイエット器具も宝くじも、売る側にしてみれば売れればよいわけで、客が本当に痩せるかどうか、当たるかどうかは関心ありません。客のほうも、痩せなかったから、ハズれたからといって、騙されたという人はいないでしょう。
金額や用途が違っても、基本は不動産も同じです。欠陥住宅の問題が取り沙汰されることはありますが、あれは例外です。マスコミが大げさに報道するから、よくあることのように映るだけです」

不動産の販売は利益が大きく、おいしい商売です

「新築分譲マンションの豪華なパンフレット、きらびやかなモデルルーム、迎えてくれる大勢の営業マン、新聞折込チラシ、かっこいいホームページ。
いったいこれらの費用がどこから出ているか、わかるでしょうか。

僕たち売り手はこれらの経費を回収しなければなりませんから、当然値段に上乗せします。新築マンションは、価格の2割~3割くらいが利益ですから、3,000万のマンションを売れば、600万円~900万円儲かるわけです。これが戸建やアパートになるともっと儲かります。

客は僕のボーナス分までローンを組んでくれて払ってくれるので、とてもありがたいです。こんなに儲かる商品って、なかなかないですよね。おいしくて、他の商売なんてできなくなってしまいます」

好況でも不況でも売らなければならないんです

「僕たち不動産業者は、いつでも『今が買い時です』と言います。
そりゃ当然ですよね。企業は毎年成長を期待されているわけですし、僕たちにもノルマがある。今は買いどきじゃない、もうちょっと待ちましょう、なんて言えるわけないですよ。景気が良くても悪くても、売り続けなければなりませんし、建て続けなければなりません。地価が下がれば『今が底』と言いますし、上がれば『もっと高くなって手が届かなくなる前に』というのは常套句です。

業界あげて供給過剰にしている、という評論家がいます。確かにその通りでもあるのですが、不動産・建設業界の失業者が増えるだけですから、僕ら個人からすれば無責任な発言に映りますね」

とにかく買ってくれればいい

「……そんないちいち顧客のライフプランなんてまじめに考えられないですよ。自分の将来すらわからないのに、他人の将来なんて、もっとわかるはずないでしょう。それよりも、僕たちにとっては売れることのほうが大事なんです。売るためなら、夜討ち朝駆けも、書類にゲタはかせるのも、やりますよ。

それに、高額物件を売れば売るほど儲かりますから、予算ギリギリもしくはちょっとオーバーの物件を勧めるのは当然です。小粒の物件を売るのも、大型の物件を売るのも、手間は同じですからね。

ですから、多少きついと感じても、なんとか言いくるめて高い物件を買うてもらいたいわけです。といっても、ローンが通らなければ意味がありませんから、ローン審査が通りそうな範囲の金額になりますが。もちろん、悪気はないんです。それが仕事ですし、僕たちも生きるために必死なんです。

売らないと給料がもらえないし、最悪、クビになってしまいます。僕たちにも家族がいて、生活があるんです。僕らにとっては、ただ買ってくれれば、それでいいんです」

悪いことも言うけど、後で打ち消します

「……基本的にはその物件の良いことしか言わないですね。
豪華共用設備は、数年経てば誰も使わなくなりますし、託児所もスポーツ施設も10年で閉鎖されることはわかっています。でもそれは買った人たちの勝手だから、『便利でいいですよ』と言います。情報開示が義務付けられている項目以外は、聞かれない限り答えないですね。それは当たり前でしょう。

ただし、そんなの聞いてない、というクレームが起こると困るので、問題点を伝えた後で、『でも、これこれこうだから大丈夫です』と言うのがセールステクニックのひとつです。自分で火をつけて自分で消す、マッチポンプトークというやつです。これは効きます。『悪いことも包み隠さずオープンに話してくれるいい営業マン』という印象を持ってもらえるからです。

世界最高額の商品を売るノウハウ持ってます

「不動産は、個人にとっては最大の買い物のひとつです。だから難易度も高いのですが、実は先輩たちが築き上げてきた長年のノウハウ、想定問答集があるんです。上手に質問すれば、顧客が勝手に結論を出し、勝手に納得し、自分から喜んでハンコを押してくれるんです。断れない人はすぐ見抜けます。駆け引きも慣れてます。どこを突けば落ちるかも知ってます。

たとえば、中流の家庭はバカだと思われたくない意識があります。
そこで、ちょっと高学歴で高収入の客はVIP扱いして、賢いお客様にはおわかりだと思いますが、価値がわかるお客様はこちらを選びますと言うと、コロリなんです」

僕らは顧客の背中を押しているんです

「その物件での暮らしをイメージできるようなトークをすると、ちょっとくらい予算を無理しても買ってくれるんです。量販店で買えばもっと安く買えるオプションでも売れます。敷地内の緑豊かな公園で、家族でお弁当が食べられるなんてステキですよ、とか。冷静に考えれば、現実はそんなことはしないだろうと思っても、こういうトークは効くんです。

高額になると、相手を信じるしかなくなるのが人間の心理ですからね。物件の価値や値段はマヒってくるから、ちょっと仲良くなって背中を押してあげると、あなたがいいと言うなら、となりやすいわけです。

たとえば早く完売させるために、申し込みが複数ある間取りから、申し込みが入ってない間取りを勧めるのはよくあることですが、たいてい、営業マンの勧めで変えてくれるんです。僕らは別に客のこと考えて勧めてるわけではないのに、一生の買い物となるマイホームの間取りを簡単に変えてくれるので、不思議なものです」

さて、いかがでしょうか。これから住宅を買う人は、この営業マンのトークを思い出して欲しいと思います。もちろん、全員がこうではありませんが、そう簡単に自分の意見を他人に預けないようにしたいものです。住宅の購入は冷静に判断しましょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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