住みたい街 首都圏/キケンな街の見分け方

災害に強い街を知るための3つの方法(2ページ目)

災害に強い地盤には共通する3つのキーワードがあります。ここでは、その3つ、「高い」「古い」「固い」場所を知るためにチェックしたいサイトを過去の記事も含め、まとめて紹介します。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド


方法2、土地の歴史を知る
地質年代、自治体ホームページ、遺跡情報を調べる

画面

20万分の1シームレス地質図の画面。左下に地質年代や解説が表示される

次に土地の古い、新しいを知る方法を見て行きましょう。簡単なのは地名で新町、新田などが新しいということですが、もちろん、それ以外にもいろいろな手があります。ちょっとスケールは大きくなりますが、日本全体の地質年代を知ることができるのが、産業技術総合研究所地質調査総合センターが公表している20万分の1日本シームレス地質図です。これは日本全国の地質年代が色分けされており、知りたい場所にカーソルを合わせるとそこの地質年代が左下に掲出されるという分かりやすいもの。土地の古さを知ることができます。

 

自治体のホームページでその街の歴史、地名の由来を知ることでも、土地の古い、新しいを知ることができます。ほとんどの自治体ではトップページに市(区や町村)の概要、プロフィールといった項目があるはずなので、そこから調べていけば効率的に調べることができます。

河川

見た目で河川と認識できれば注意しやすいが、都心部では暗渠化された河川も多い

過去の土地利用を知ることも、土地の古い、新しいを知るためには役立ちます。そのために役立つ地図としては「液状化の危険を地図、空中写真から読む」と題した記事でご紹介した国土地理院の旧版地図、過去の空中写真などが挙げられます。また、同記事及び「安全な高台はどこ?明治の地図から土地の高低を知る」で紹介した独立行政法人農業環境技術研究所が作った歴史的農業環境閲覧システムも有効です。土地の高低に従って利用をしていた時代の地図ですから、水田であれば低地、畑や茶畑であれば高台と想定できるわけです。この地図はグーグルアース上で見ることもできます。

 

古墳

地元の有力者の墓とみられるような古墳は高台の、周辺を見下ろす場所に建てられているケースが多い

類推材料としては、東京都が作っている遺跡地図情報インターネット提供サービスも役に立ちます。縄文時代、弥生時代などの遺跡の大半は台地上に立地しており、条件の良い、住みやすい場所には貝塚から始まり、延々と遺跡が集積しているもの。たとえば北区の赤羽台(現在は赤羽台団地の広がる辺り一帯)は古墳時代から始まり、縄文、弥生、奈良……と遺跡があり、近代に入ってからも近衛工兵隊、米軍基地があったそうです。

 

ちなみに歴史で言えば大名屋敷、武家屋敷=高台と考えがちですが、これは勘違い。現在東京大学になっている加賀前田家の上屋敷は確かに高台ですが、水戸徳川家の中屋敷(のちに上屋敷)だった小石川後楽園は低地。将軍家の別邸だった現在の浜離宮恩賜公園が海沿いにあることなども考えれば、必ずしもイコールでありません。不動産広告の中には、かつて武家屋敷があった、暗に高台と言いたいというようなものもありますが、鵜呑みにはしないことです。

方法3、土地そのものの固さを知る
柱状図チェックに加え、現地確認も大事

最後に土地そのものの固い、やわらかいを知るための方法ですが、これについては地盤調査の結果である柱状図から類推するのが現実的。自分が調べたい土地周辺で、高さが大きく違わない土地の柱状図を探し、比べてみるというやり方です。インターネットで公開されているものに近隣の図がない場合には、地元の自治体の建築確認担当部署で見せてもらうという手もあります。

 

いずれの場合にも、柱状図のある場所と自分が選ぼうとしている場所の高低差、位置関係は必ず自分の目でチェックしてください。高台の柱状図と低地の希望地ではいくら距離が近くても地盤の状況は異なるはずですし、その逆もありえます。また、自分の希望地は周辺からみてどのような高さにあるかを意識するのも大事。一帯が台地上にあったとしても、希望地が坂を下ったところにある場合にはさらに調べる必要がありますし、高台になっているなら一安心といった具合です。

 

柱状図の意味、各自治体ごとに公表されているURLについては「地盤の強さをネットで見る、調べる」「東京、横浜、川崎、埼玉、千葉の地形を知る」をご参照ください。また、後者では神奈川県について横浜市、川崎市の柱状図のありかのみを書きましたが、それ以外の神奈川県についてはかながわ地質情報マップ(財団法人神奈川県都市整備技術センター)を参照ください。

 

高低差のある住宅地

高低差の明確な土地の場合には、どのような方法で造成されたか、擁壁などにはらみ出しや水漏れがないかなどを確認したい

もうひとつ、丘陵や台地など高台にある土地が造成されて弱くなる例がありますが、これについては「高台でも危険あり。盛土造成地にご用心」を参照ください。基本的には1m以上の崖を見たら疑い、調べてみることが大事。国土交通省の宅地防災のページには擁壁の状況から危険を知るための写真などが掲載されていますから、参考になさると良いかと思います。

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