新旧地図、空中写真を見れば
土地の過去が分かってくる

会場内

会場は満席、時間によっては立って聞く人が出るほどの盛況ぶり。今回の震災関係の報告パネルなどもいくつか展示されていた

2011年6月23日、千代田区の一橋記念講堂での国土地理院東日本大震災調査報告会でどうしても聞きたかった発表のひとつが「古い地図・写真からみる液状化の状況」(国土地理院地理情報解析研究室長 小荒井衛さん)。地図はその土地の現況を表わしたものですが、過去、現在を見比べれば、その変化が分かります。液状化は川や海、湖沼近くの低地や埋立地、旧河道などで地下水位が10mよりも浅い場所で起こります。地下水位は地図からは分からないにしても、新旧の地図を見比べれば、低地であることはもちろん、現在は住宅地となっている旧河道、埋め立てられた土地なども分かるはずです。

 

そのために役立つものとして発表で挙げられたのは
1. 旧版地図 
名称の通り、過去の地図。5万分の1、2万5000分の1で、ネット上ではどこの図があるかは分かりますが、最新のもの以外は国土地理院本院、地方測量部で閲覧、あるいは謄本交付をしてもらう必要がある。

2.過去の空中写真 
国土地理院ホームページ内で国土変遷アーカイブとしてまとめられており、ネット上で閲覧可能。1936年以降の陸軍、米軍の写真なども含め、現在までの空中写真がまとめられている。新旧比較に役立つ。

3.土地条件図 
土地条件図

土地条件図トップページ。色分けされているので、分かりやすい

主要都の平野部や主な防災対策推進地域などを対象に地形分類、土地の高さなどを示した地図で、一部は電子国土(国土に関する様々な地理情報を位置情報に基づいて統合し、コンピュータ上で再現したもの。いろいろな地図情報の複合体と考えれば分かりやすい)でも閲覧可能。

 

4.治水地形分類図 
国が管理する河川流域のうち、都市が集中する平野部を対象に、地形分類、河川工作物などが盛り込まれた地図。関東エリアでは久慈川、那珂川、霞ヶ浦、小貝川、鬼怒川、渡良瀬川、烏川、神流川、利根川、江戸川、中川、荒川、多摩川、鶴見川、相模川、富士川が整備されている。ネットで閲覧可能。

5.迅速測図
明治時代に作られた地図で原図よりも、過去の記事「安全な高台はどこ?明治の地図から土地の高低を知る」で紹介した歴史的農業環境閲覧システムで見るのが効率的(と国土地理院の担当者もお勧めしていた)だ。ネットで閲覧可能。

被害が集中したのは
旧河道の埋立地、元水路など

噴砂

液状化し、地下から砂が噴き上げた千葉県湾岸エリア。地割れができた場所などもあり、長らくライフラインがストップ

発表では東日本大震災で液状化の被害が甚大だった東京湾岸と利根川下流域などで液状化被害が集中した場所が、旧河道を埋め立てた場所や元水路だったことが報告されましたが、発表内容は現在ネットでも見られるようになっています。

 

よく、週刊誌などでは「ここが危ない!」と自治体名などを挙げて指摘していますが、実際に地図を見てみると、必ずしも全域が危ないわけではなく、複雑に危険と安全、そして判断に迷う地点が入り混じっていることが分かります。

 

また、今回の発表ではありませんが、自治体のハザードマップで安全とされた場所が液状化したケースもあります。可能な地図その他の地理情報は見ておき、かつ現地も確認し……。地盤の元の姿が分かりにくい都市部で安全を手に入れるためにはノウハウが必要なのだとつくづく思います。

 


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