ランチは880円、名物のコールスローとボルシチは「50円」
12時台ど真ん中に行くと行列必死の同店。この日は友人と13時台に伺います。大きな店舗は、1階が値段もお手ごろでカジュアルな食堂風の空間。2階は高級レストランの趣で値段も上がります。3、4階は宴会やパーティ向けの空間と、その日の用途に合わせて使い分けが可能です。100年店ランチでは、2000円以内を1つの目安にしていますので迷わず1階へ……。店内へ入るとレトロでモダン、カジュアルでありながら、歴史を感じる抜けのいい空間が広がります。これまた歴史を感じる給仕服に身を包んだ女性スタッフに席を案内され、2人掛けテーブルに着席。店内は賑やかで活気が溢れています。メニューは通常メニューに加え、7種類のランチタイム用のメニューがあり、いずれもライスが付いて880円とリーズナブルです。私はその中から「チキングリエ」をチョイス。友人は初訪問ということもあり、創業以来の名物、「オムライス」(1650円)をオーダーしました。
オムライスと言えばたいめんけん、と言う人がいるほど有名な同店。メニューには数種類のオムライスがありますが、中でも目を引くのが「タンポポオムライス(伊丹十三風)」(1850円)です。チキンライスの上に半熟のプレーンオムレツを乗せてオムレツに切れ目を入れてトロトロの卵が“花開く”スタイルで、映画にも登場した伊丹十三さんの着想を同店がメニュー化しているものです。
加えて、同店で忘れてはならないのが、「コールスロー」と「ボルシチ」です。いずれも50円と驚きの価格。もちろんこれのみのオーダーはできませんが、この日はチキングリエやオムライスに両者(合計100円)を当然のように追加オーダーします。俄然テーブルが華やかになりますね。チキングリエは量もたっぷりで大満足。いつも変わらず絶妙な味付けのコールスローもしっかり脇を固めてくれます。
しかし、友人のオムライスを見て感じたのは、“提供ムラがない”ということ。たいめいけんのオムライス画像は、紙媒体、ネット上を問わずさまざまなところで目にしますが、誰が撮影していようとも、“いつも同じ顔”をしています。老舗や有名店に恥じない素晴らしいポイントです。
2つの50円名物については、注文時に「コールスローとボルシチはどうしますか?」と聞かれる場合もありますが、“その存在をみんなが知っている”ことを前提に接客される場合もあります。カキフライや海老フライなどメイン料理にしっかりコールスローが盛られているメニューもありますし、コールスロー、ボルシチともオーダー後すぐに出てくるので、メインが提供され、その内容を確認してから、追加オーダーするかどうかを考えるのがいいかも知れませんね。
ちなみに同店は11時から夜まで通し営業ですが、ランチメニューの提供時間は11時から14時までとなっています。
ラーメン好きも注目する上品な洋風のラーメン
私も何度も通っている同店。これまで「オムライス」、「タンポポオムライス」、「チキングリエ」、「カキフライ」、「海老チャーハン」、などいろいろ食べていますが、どれも“外し”が無く、いつも高い満足度を与えてくれます。定番の洋食もさることながら、冬場に特に人気があるのが、「ラーメン」(680円)です。同店のラーメンは、いわゆる普通のラーメンとは違う、やさしい洋風スープの装い。食紅で外側が赤みがかったどこか懐かしい焼き豚が目を引き、メンマや海苔、たっぷりのネギにサヤエンドウが彩りを添えています。クリアでブイヨンが効いたあっさりとした醤油スープに細麺、今風のラーメンとは一線を画す上品なテイストです。
ラーメンは、店内はもちろん、入口が異なる立ち食いのラーメンコーナーでも食べることができます。「麺」の文字が印象的な同コーナーでは、厨房が見えることもあり、たいめいけんファンのみならず、ラーメンマニアの方々も日々行列を作っています。食べる場所は問わず、ぜひ一度試してほしい一品です。
「単純に新しいものを追いかけるのではなく、日本人のための洋食を」という先代の思いをしっかり受け継ぐ同店。現在はフレンチやイタリアンも“たいめいけんのフィルター”を通して日本人向けにアレンジし提供しています。
新宿駅、渋谷駅と時を同じく誕生した洋食店で、ランチはいかがでしょう?
■たいめいけん
住所:東京都中央区日本橋1-12-10
TEL:03-3271-2465
営業時間(1階):11:00~21:00(日・祝は20:30)
定休日:年中無休
地図:Yahoo! 地図情報
※上記すべて取材時(2012年2月)の情報・価格です。