津波避難ビルの条件
平成17年6月のガイドラインに定められた津波避難ビルの条件を抜粋してご紹介します。
【構造的要件】地震に対する強さとして新耐震設計基準(1981年以降に建設)であること、津波に対する強さとしてRC造(鉄筋コンクリート造)またはSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)であること。
【位置的条件】
津波ハザードマップより浸水予想地域を確認し、避難可能な地域を差し引いて避難困難地域を選定し、その地域をカバーするように津波避難ビルの候補を選定する。
その他に非常時に逃げ込めるようになっていること(カギの解錠、外階段の有無等)、相当数の人が避難出来るスペースがあること、など。
津波避難ビルの実態調査
外階段があるといざという時、建物上階にアプローチしやすい。
国土交通省は今後の津波対策の検討のために、岩手県、宮城県及び福島県を除く沿岸部に位置する自治体に「津波避難ビル等」に関するアンケート調査及び追加調査を行い、結果をホームページで公開しています。
平成23年12月に行った「津波避難ビル」に関する実態調査結果によると、平成23年6月に1,876棟だった津波避難ビルが同10月末には3,986棟と約2.1倍に増えました。
津波避難ビルに指定されている建物は、公共建築物と民間建物の比率は約1:2で民間建築物が多く、建物の階数は2~4階建てが多く約3/4を占め、耐震性が確認されていない建築物が2割弱指定されているとのことです。
現状の津波避難ビルの問題点
アンケート調査で浮かび上がった問題点は、もともと沿岸部には中高層の建物が少ないこと、夜間や休日の対応やオートロックの開場、避難時の安全確保上の責任、ビルが破損した時の責任、プライバシー確保の観点から所有者の同意を得るのが難しい、という意見が寄せられました。震災後の津波避難ビル指定数(平成23年10月31日現在)
平成23年10月31日現在の調査によると、最も多くのビルを指定している都道府県は静岡県で1,031棟、次いで大阪府の749棟、神奈川県の429棟、徳島県280棟、愛知県302棟、兵庫県263棟と続きます。反対に島根県、広島県、山口県、福岡県、長崎県、東京都など津波避難ビルを一棟も指定していない都道府県もあります。
次のページでは約4倍に増えたという津波避難ビルの最新情報をお伝えします。