保険の必要性は身の回りの「リスク」で考える
家族が安心して暮らすには、保険は大事な存在。保険料や補償内容の比較だけでなく、身の回りのリスクから考えてみよう
例えば、自動車事故で相手にけがをさせたり相手の物を壊したりして数千万円の支払いをしなければならなくなったらどうしますか?そんなお金をすぐに準備できるでしょうか? 貯金がいっぱいある人は痛くも痒くもありませんが、ほとんどの人が無理な話だと思います。それをカバーしてくれるのが保険。
ところが、自動車保険をはじめ今の保険の選び方というのは、その保険の必要性を考えることなくどっちが安くてどっちが得とか、こちらの内容の方が良いとか悪いとかという比較から検討に入っている人が多くみられます。お金に関する情報が以前に比べ随分多くなっていますし、金融機関が発信する情報も増えていますので、それらの情報を比較検討することからアプローチしてしまうのは仕方がないかもしれません。
しかし冷静に考えると、「これっているの?」という保険や補償もあったりします。自分にとって必要かどうかは、まず「身の回りの経済的なリスクを考える」ことからはじめます。それを整理したのが「リスクマップ」です。リスクマップにすることで、数値を並べるより、どんなリスクが大きいのか、頻度はどのくらいかが一目でわかります。今回は、上手な自動車保険選びができるよう、リスクマップの基礎知識を解説します。
リスクの大きさ、頻度が一目でわかる「リスクマップ」
リスクマップは「経済的ダメージの大きさ」を縦軸に、「リスクの発生頻度」を横軸にしたマトリックス表です。例えば、高額な賠償をしなければならない自動車事故の場合、経済的なダメージは大きいが発生頻度は低い、軽度のケガや病気の経済的なダメージは小さいが頻度は高いといった具合にマッピングしていきます。<モデルプロフィール>
職業:会社員
年齢性別:35歳男性
家族構成:既婚、子ども2人、車所有、持ち家
上のリスクマップのモデルプロフィールは、35歳社会人男性、家族構成は妻、子ども2人、車所有、持ち家と設定しました。
リスクマップの内容はプロフィールによって異なるでしょう。持ち家がある人は火災のリスクがありますし、自動車を持っている人は自動車事故のリスクがあります。自動車をもっている人でも毎日乗る人と、1ヶ月に数回しか乗らない人ではリスクが異なります。
4つのエリアで保険の必要性を考える
リスクマップに様々なリスクをマッピングすると、エリアによってはたくさんリスクがあったり、少なかったりの違いがでてきます。4つのエリアに注目すると、エリアによってその対策の考え方が異なります。■Dのエリア:リスクの予防接種
ダメージが小さいが頻度は高いリスクです。日頃の注意によって予防したり頻度を少なくしたりする対策を考えます。例えば、車の運転は制限速度を守って慎重に行う、うがい・手洗いで風邪をひかないように注意するなどです。つまり「リスクの予防接種」が主な対策です。
■Cのエリア:もしもの時の現金を
ダメージが小さく頻度もあまり多くないリスクです。Dと同じように予防しながらもダメージが大きめなリスクに対しては、対応できるよう準備しておきます。例えば、車両事故で車が壊れた場合、現金で修理できるように貯金しておく、車両保険に加入して対策をしておくとかといったことが考えられます。
■AとBのエリア:保険に頼る、リスクを回避する
このエリアは自分の力だけでは到底カバーしきれないリスクです。このエリアをカバーするために、保険があるといってもよいでしょう。ただし、Bのエリアは頻度も高くダメージも大きいので保険料がかなり高くなります。リスクが発生しない対策が求められます。
例えば、車に乗らないことで大きな賠償事故のリスクが少なくなったり、高台で地盤がしっかりしていているところに住むことで地震や津波のリスクを回避できます。ただし、すべての人がそのようにできるわけではないので保険に頼ることも必要です。
次のページでは「C、Dのエリアに掛けている保険が見直しターゲット」を紹介します。