早く少額から貯める効果は、後から慌てるより大きい
資産運用では複利効果がよく重要視されます。これは雪だるまを作るとき最初のうちはあまり大きくならないものが、途中からどんどん大きくなるような仕組みに似ています。あるいは自転車をこぎ出した最初は力がいるのに、途中からはあまり力を入れずにどんどん先に進めるようになるようなイメージです。
毎月ちょっとずつでも長くがんばっておくと、後から慌ててお金を貯めるより効率的にお金が貯まる、これが複利効果です。
例えば、Cさんが20歳から毎月1万円を40年積み立て、Dさんは40歳からあわてて毎月2万円を20年積み立てたとします。積立金額の合計は同じですが、Cさんのほうが受取額は大きくなるのです。仮に年利2%とすれば、Cさんは823万円ももらえるところ、Dさんは622万円にしかなりません。その差はなんと200万円!しかし、この違いは単に「時間の差」なのです。
DさんがCさんに追いつきたければ毎月2万円ではなく、2.6万円を積み立てなければならないほどです。投資理論的にも、「余裕が出来たら始める」はうまくいかないやり方なのです。
発想を変えて、「今から貯める」に切り替えよう
「今がぎりぎりだから貯められない」という固定観念にはまっていることが、貯められない人の発想です。この発想は切り替える必要があります。「今はまだ貯める金額を絞り出す余裕がある」と考えるところから発想をスタートするのです。人間の生活にムダがない、ということはありません。つまり、どこかに余裕がある、ということです。毎月20万円以上稼いでいる人であれば、何か生活を見直せば、1万円くらいの枠を見つけることができるはずです。
ここまで読んで「いや、ないない」とつぶやいた人は、その時点で、自分を決めつけてしまっています。貯められない、と最初から決めていては貯められるはずがありません。自分で自分をマインドコントロールしているようなものです。
向こう1カ月、すべての買い物、クレジットカードの引き落とし明細、家賃や公共料金の金額など、引かれる金額を全部チェックしてみてください。削れる余地はたくさんあるからです。毎日の買い物はもちろん、自動で引かれる基本料金にメスを入れる、更新時に引っ越しを検討する、などなど、検討の余地はいろいろあるはずです。
筆者も最近、外出時のPC通信カードの契約見直しをサボっていたら、毎月3000円もダウンすることに気づいてショックを受けました。解約手数料が1万円かかっても3カ月で取り戻せ、しかも回線は速くなるおまけつきです。誰でもそんなムダが隠れているはずです。
ぜひ、「貯められる余地はある」と自分に言い聞かせてみてください。ツケを後に回すほど自分の将来がきつくなることは理論的にも明らかですし、先送りが実行されないリスクも高いのですから、今すぐ貯蓄のスタートを考えてみましょう。
あるいは「今の生活のままで年収を増やす方法はないか」と考えることもいいでしょう。これも最初から無理と決めつけている人が多すぎます。私の周囲にもあきらめずにチャレンジし続けて年収を大きく増やした人がいますが、今の仕事を続けながら、新しいキャリアアップ先を探すことは考えておきましょう(いつも考え続けると疲れますので、時折真剣に考え、またチャンスがなければしばらく間を空ける、でもいい)。
今から貯蓄をスタートできるなら
もしこのコラムを読んで、「とにかく始めてみよう」と思うのでしたら、メインバンクで積立貯金から始めましょう。給料日の翌日を引き落とし日にして1万円でもいいので、自動で積み上がるようにします。1年も続くと、間違いなく自信がつくはずです。個人型401kは非課税の面では最強ですが、自営業者や企業年金のない会社員しか利用できません。それでも2000万人以上対象者がいますので、あなたも利用できるかもしれません。興味があれば、チェックしてみてください。
年収の20%を貯金できる人は、おそらくお金のやりくりに困る必要がない人生を過ごせるはずです。そこまでいかなくとも、10%を貯められるようになれば、生活の余裕はぐんと広がります。「貯められない自分」という決めつけから、今年は脱出してみませんか。