子育てに向く賃貸は少なく、持ち家にならざるを得ないのが現状
子どもを持つ予定のふたり家族は、あらかじめ子どもの数を予想しつつ広さや間取りを決める必要があります。子ども一人の3人家族の予定であれば広さは60~70平米・2LDK~3LDK、子ども二人の4人家族であれば70~80平米・3LDK~4LDKがひとつの目安となります。つまり子どもが一人増えると10平米広くなるのです。借りる、持つについてですが、3LDK以上の部屋数が多く広い住宅は、賃貸マンションやアパートには少なくて家賃も高いという現実があります。借家の場合も同様です。したがって子どものいる3人以上の家族は、予算さえ許せば借りるより買うという選択をすることになるのです。40代の持ち得率が60パーセントを超えていることからも、そうした実態が肯けます。
ファミリー向けの賃貸住宅が少ない背景には、持ち家を推進する国の住宅政策があります。低金利の固定型の住宅ローン提供や住宅ローン減税、贈与税の優遇など持ち家取得には相当の補助がありますが、賃貸住宅にはほとんど補助らしきものはありません。その結果、同じ家賃を払うのなら、買ったほうがいいというわけで、子どものいる家族は持ち家を志向しました。若年層、小家族向けの賃貸アパート・マンションは別として、ファミリー向けの賃貸住宅が普及しなかったのは、そうしたことによるものです。
多様化する日本の家族
自分の仕事や家族を思い浮かべながら、読んでいただいたあなたは、自分に適した住まいの大枠がある程度イメージできるようになったのではないでしょうか。一方で、自分はここに挙げられた家族のパターンにはあてはまらない。という方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。実は、日本の家族は、多様化の一途をたどっており、正直ここでとりあげた家族はほんの一部に過ぎません。離婚率が35パーセントを超えており、子どものいる夫婦が離婚して母(父)と子のふたり家族、生涯未婚率25パーセントのため40代の独身の子と70代の親が同居しているふたり家族も多数存在します。こうしたふたり家族の住まいについては、長文となるため、今回は触れることができませんでしたが、この先機会があれば、触れてみたいテーマです。
それでは、次回は暮らしの満足度を左右する住環境について解説します。自分に適した住まいのイメージづくりに、住環境は大きな役割を果たすものです。
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