億単位の予算があれば一戸建て、
残念ながら供給は少な目
駅の東側、歩いて5分ほどのところで見かけた分譲地。1軒の区画を分割、50坪強で1億円を越える額だった
この街で家を購入と考えるなら、億単位のお金を出して一戸建てを手に入れるか、1億円以下でマンションを買うかという選択になります。特に田園都市会社が開発したエリアは非常に限られた地域ですし、最低土地面積が50坪(165平米)となっている区域もあり、土地代だけで1億円は見ておかなくてはいけません。ところどころで更地、あるいは販売されている土地も見ましたが、それほど数はありません。
環状八号線沿いにはマンションが点在。築年数が古いものも少なくない
マンションは新築、中古ともに駅周辺よりも少し離れた田園調布1丁目、5丁目、東玉川1~2丁目などに多く、近くても10分前後。最寄駅でみると、東急東横線多摩川、東急池上線雪が谷大塚駅や石川台駅その他が近い場合もあります。特に中古では築20年、30年と古い物件もあり、かつ立地によってかなり価格差があるため、同じ60平米台でも2000万円から5000万円台までいろいろ。供給される戸数もそれほど多くはありません。
東急東横線、同目黒線が利用できる田園調布駅。渋谷からは急行で10分ほど。自由が丘の隣だ
沿線全体で見ると、東急東横線の代官山から武蔵小杉間では隣駅多摩川(目黒線、多摩川線も利用可)の相場が一番低く、田園調布はそれに次ぐ状況。都心寄りの隣駅自由が丘に比べると中古マンションの坪(3.3平米)単価で比べると70~80万円安くなっています。住環境重視で選ばれる一戸建てと違い、マンションは利便性が優先される場合が多いため、田園調布はやや控えめな価格設定ということでしょう。
駅から歩いて10数分。多摩堤通り周辺にはアパートや小規模な住宅も
賃貸も物件は少な目。同じ沿線の他駅に比べると3分の1くらいの戸数しかなく、半分は単身者向き。駅から徒歩10分以上、あるいは築30年、40年という物件もあり、ワンルームマンション、アパートであれば5~6万円程度から借りられます。
開発から約90年。大きく変わることなくきたこの街だが、乗降客数は減少傾向が続いており、そのあたりが気になる
街並みそのものに加え、住む人の意識の高さが開発された当初の美しい状態を保っている街、田園調布。環境最優先、一戸建て希望者であり、かつ資力があれば魅力的な街ですが、そのための費用、住んでから維持・管理や利便性を考えると、住む人を選ぶ街でもあるのだろうと思います。
*記事中の地図は
グーグルアースに
ゼンリンの地図情報、
東京地形地図の情報を重ね、記事に必要な路線、道路、駅名などの情報を書き込んだものです。