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来年1%マイナスの公的年金はすでに7兆円も払いすぎ

来年の公的年金が1%程度カットされる、というニュースが出ています。物価が下がっても年金を下げなかったツケはすでに7兆円ともいわれています。なぜこれほどの払いすぎが生じてしまったのでしょうか。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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来年の公的年金もカットされる

来年の公的年金について1%程度カットする案があるそうです。
ニュースを読んでみると、今年の消費者物価指数がマイナスになる可能性が高まっており、0.2~0.3%程度の年金額カットを行うのではないか、という見通し記事と、過去に未実施の年金額カットが約2.5%あって、この一部を年金額カットするのではないかという見通し記事が合体して、来年は1%くらいの年金カットを行うのではないか、となっています。

今後、法律改正を行わなければなりませんので、実行までまだ紆余曲折のあることと思いますが、年金額をカットするのは国民全体にメリットのある重要な取り組みのひとつです。この意味合いについて考えてみたいと思います。

今年の物価下落分、年金額をカットするのは当然

今回のニュース、年金引き下げは2つのパートに分かれています。

まず、前半部分の0.2~0.3%の年金額カットですが、これは今年の物価が下がったことによる来年の年金額の引き下げとなっています。

物価が変動するたび、公的年金額も変動します。かつてはインフレしかありませんでしたので、世の中がインフレするたびに年金額もアップするようなやり方が行われてきました。

インフレというのはモノの値段が上がることで、年金額をそのままにすると、買い物できるボリュームが少なくなってしまうため、年金額を上げないと年金生活者の生活が維持できなくなります。モノの値段が100円から200円に上がるときには年金も引き上げないと困るわけです。20年近くにもなる年金生活において重要な仕組みで、物価スライドと呼ばれます。

さて、この理屈をそのまま当てはめれば、物価が下落したときには年金額も少なくするべきです。モノの値段が安くなっているのに年金額がそのままであれば、実質的に年金が多くもらえている状態になるからです。

しかし物価が下落するという状態が継続することは歴史的にもあまりなく、ほとんど想定されていなかったため、一時的な現象と判断し、年金額の引き下げは先送られました。おそらく数年後には元に戻る、と考えられていたのです。

結局物価下落は続いており、年金生活者に物価下落分の年金引き下げを行うのが遅れてしまいました。今年の4月には昨年の物価下落に対応して0.4%の引き下げを行っていますが、これも経過措置があって、本当は物価下落は0.7%でした。

「わずか0.4%なんて」と思うかもしれませんが、国の年金給付はすでに52兆円の規模です。仮に50兆円の0.4%とすれば、なんと2000億円以上です。国の財政に与える影響は無視できない大きさなのです。例えば「はやぶさ」等の宇宙開発予算1735億円がまかなえてしまうほどの大きさです(文部科学省平成23年度予算より)。

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