カフェで生まれる出会い
壁の一角にはブックセレクターが選んだセンスの良い書物が並びます。購入可能。
あるお店の常連客たちが、もう一組の常連客たちとムーンファクトリーの店内でばったり顔を合わせ、予想外の場所での遭遇に「なんだかラッキーだね!」と喜びあう光景も見られたそうです。
「そんなふうに人と人が出会っていくのが嬉しくて、今日いちばんラッキーだったのは私、と思いました(笑)」
「どうして僕の好きな本がわかるんですか」と驚いて購入していったお客さまもいるとか。
「川口さんがブログに、ムーンファクトリー・コーヒーという店名から稲垣足穂を連想する、と書かれたでしょう? それをブックセレクターの人が読んで、稲垣足穂の本をお店にプレゼントしてくれたんですよ」
その本とは『人間人形時代/カフェの開く途端に月が昇った/宇宙論入門』。杉浦康平がデザインを手がけ、本の中心にレコード盤のように孔をうがった工作舎の一冊は、私の自宅の本棚にもある宝物です。
ディスプレイに加えられた稲垣足穂の本。
そうそう、月と出会うこともできるのです。 今年の十五夜、高橋さんは月見団子をたずさえてカフェを訪れたお客さまといっしょに、ビルのすきまから顔を出す満月を窓ごしに愛でて楽しんだといいます。
そして時刻によっては、カフェの天井に消えいりそうな三日月が浮かびあがります。お店を訪れたら、目だけでこっそり探してみてくださいね。