アイランドキッチンは機能面で優れている!でも気になるデメリットも
アイランドキッチンとは、部屋の真ん中に小島のように独立させたレイアウトのこと。おしゃれでホームパーティをするキッチンというイメージがありますが、実はとても優れた機能を持っています。でも油はねや丸見えになりそうなど気になるデメリットも。そこでリフォームを成功させるために、必要な設備や広さ、プランの際の注意点をご紹介します。まずはアイランドキッチンのデメリットを整理してみましょう。まず1つめは揚げ物など、油料理の時の「油はね」が気になること、2つめは散らかっていると「丸見え」になってしまうこと、そして3つめは調理の際の「臭い」が広がりやすいことです。
実はこの3つは、アイランドキッチンに限らず、オープンスタイルのキッチンに共通するデメリットです。そしてリフォームの際の小さな工夫で解決することができます。
アイランドキッチンのデメリット、油はねと収納、臭い対策を
アイランドキッチンのデメリットの1つめ油はねは、リフォームの際にコンロの周囲を壁やパネルで覆うことで対策できます。壁は天井までぐるりと立てる方法、手元を隠す程度の高さにして上部はオープンにする方法、コンロの前だけ立てる方法、システムキッチンのオプションのパネルを取り付ける方法などがありますので、我が家のデザインや使い方に合わせて選びましょう。アイランドキッチンのデメリットとなりがちな油はねは、手元を隠す程度の壁を作るだけでもかなり解消される。オプションの油はね対策用パネルもある(クリナップ)
上の写真はアイランドキッチンの周囲にちょうど手元を隠す高さの壁を作った様子です。フルオープンと比較すると若干の閉塞感はありますが、アイランドキッチンの一番のメリットは周囲をぐるぐると行き止まりなく回れるところにありますので、使い勝手は変わらないまま、油はねを防ぐことができるようになります。
また2つめの散らかっていると丸見えになってしまうというデメリットも、このような壁があればさりげなく隠すことができます。
このようなオープンスタイルのキッチンを美しく保つポイントは、収納の充実にあります。いつでもサッと出し入れできる収納があれば、散らかることもありません。例えば背面の壁に大型の壁面収納を取り付けるリフォームをすれば、収納力は大幅にアップ。片付けがしやすくなり、いつもキレイが維持できるようになります。
その際は、食器類だけでなく家電や保存食品の収納スペースも確保し、また扉は開けっ放しにしても通路のジャマにならないよう、引き戸にしておくといいでしょう。
オプションの油はねパネルを取り付け、背面の壁には大型の壁面収納を設置、いつでもキレイが維持できるアイランドキッチン(LIXIL)
アイランドキッチンの3つめのデメリット、調理の臭いが気になるということに関しては、掃除がしやすく集煙能力の高い換気扇を選ぶ、壁に消臭機能があるエコカラットなどの壁材を使う、臭いを軽減してくれるガスコンロを選ぶなどして対策しておくといいでしょう。
特に注目したいのが、魚焼きグリルです。魚を焼くとどうしても家の中に魚の臭いが広がりますが、最近のガスコンロの魚焼きグリルは、焼いた際の臭いや煙を大幅にカットしてくれる機種があります。臭いや煙の拡散については、設備機器選びでかなり対策できるようになっていますので、しっかり選びましょう。
では次にアイランドキッチンの優れた機能面、またどの程度の広さがあれば快適になるかなど、リフォームのプランを考える際の注意点をご紹介します。
アイランドキッチンは回遊プラン、家事ラク&バリアフリーになる
アイランドキッチンの最大の特徴は、壁のどこにもくっついていないので、周囲をぐるぐると回れるところにあります。このような間取りを「回遊プラン」と呼び、住宅において、理想の間取りとされています。回遊プランのメリットは、行き止まりなくどっち回りにでも移動できるので、いつでも目的地まで最短距離で移動できるところにあります。
例えば下の写真で、手前にあるテーブルから冷蔵庫の中のマヨネーズを取りに行くことを考えてみると、アイランドキッチンなら、左の通路からまっすぐ進めるので(赤い矢印)、サッと言ってパッと取れます。全ての動きがこのように最短距離でできるようになるので、家事効率は格段にアップします。
アイランドキッチンとは、部屋の真ん中に小島のように独立したキッチンのレイアウトのこと。回遊プランなので移動しやすく流れるように作業ができる(パナソニック)
この便利さは、奥が行き止まりになった、壁から突き出た形の対面式キッチン(ペニンシュラ型、半島型のレイアウト)と比較するとよくわかります。例えば上の写真で、キッチンの左側が壁にくっついて通路がふさがっていると、マヨネーズを取りに行くたびに、緑の矢印のように進み、またUターンして戻ってくる必要があります。
実はこのような行き止まりの間取りは、バリアフリーという観点から見ても、あまり良いとは言えません。以前、ガイドYuuが足をケガをして1年ほど車いすで生活した時も、この行き止まりが問題になりました。
車いすでキッチンの通路に入り、奥が行き止まりだと、バックで戻る必要があります。実はこれが結構大変で、とても使いにくく感じていました。この奥の壁を通り抜けることができたらどんなに便利だろうと何度も思ったものです。アイランドキッチンなら、周囲をぐるぐる回遊できるので、いつでも前向きに進めます。
このようにアイランドキッチンへリフォームすれば、見た目やイメージが良くなるだけでなく、移動のムダが少なくなるのでいつでも流れるように作業ができ、バリアフリーになるので年をとっても安心して暮らせるようになります。
複数で料理がしやすいから、夫婦で親子で便利に快適に料理ができる
アイランドキッチンのもうひとつのメリットは、複数で動きやすいことにあります。「SUUMO」×「クックパッド」の理想のキッチンアンケートによると、約6割の人が2人以上でキッチンに立つことがあると回答しました。そしてその際の不満として、すれ違いができない、効率が悪い、お互いがぶつかってしまうなどがあげられています。このような複数で調理を行う際も、アイランドキッチンならスムーズに進めることができます。と言うのも、アイランドキッチンの特徴である回遊プランは、複数で炊事をしても、前に人がいれば反対側に抜けることができるので、すれ違いをする必要が無く、お互いがジャマになることが無いからです。
そのおかげで、今までは1人で頑張っていたけれどリフォーム後は2人で助け合いながら料理をするようになった、中には二世帯同居のストレスが解消されたという事例もあります。
その二世帯住宅は親世帯と子世帯が1階と2階に分かれて住んでいて、それぞれにキッチンはあったのですが、日当たりのいい2階にみんなで集まることが多く、自然と一か所のダイニングキッチンで食事をとるようになっていました。
しかしそうなると、困るのがキッチンでの料理です。もともと壁から突き出た形のペニンシュラ型の対面式キッチンだったため、お姑さんがキッチンに立っている間、お嫁さんは冷蔵庫のマヨネーズを取りに行きたくても、すれ違うのが面倒でキッチンから出てくるまで待っているという毎日だったそうです。
そこでもっと食事の時間を便利にラクに楽しくしようと、思い切ってアイランドキッチンにリフォームしたら、今までのキッチンストレスが解消!
冷蔵庫に行きたい時は反対側から入ればいいし、かち合いそうになったらサッと反対側から抜ければいいし、手伝う時は向かい側からも手を貸せるしで、お互いをジャマに感じることが無くなり、協力がしやすくなって、とても快適になったそうです。
家族と対話しながら炊事をするのがペニンシュラ型の対面式キッチンなら、夫婦で親子で一緒に料理や後片付けをしやすいのがアイランドキッチンというわけです。
アイランドキッチンは広さが必要、無理のないリフォーム計画を
アイランドキッチンへのリフォームの際は、壁付けやペニンシュラ型の対面式キッチンに比べると広い面積が必要になりますので、注意しましょう。ダイニングとキッチンをあわせて10畳以上の広さの確保をしておきましょう。省スペースなプランにしたい場合は、キッチンと食事カウンターを一体化させて食卓にする方法もあります。壁面の収納はできるだけ引き戸にして、通行しやすいよう工夫しましょう。
キッチンリフォームで多い失敗は、スタイルにこだわり過ぎて、リフォームしたら却って狭く使い難くなったというものです。オープンスタイルのキッチンの必要面積は、
アイランドキッチン>対面キッチン(ペニンシュラ型)>壁付けキッチン
ですので、無理のないプランを考えましょう。
アイランドキッチンはデメリットを克服すれば、とても使い勝手がいいレイアウトです。上手に計画を立てて、理想のキッチンを目指してみて下さい。
下記には、無理に対面スタイルにしたせいで使い勝手が悪くなってしまった失敗事例をご紹介していますのであわせてご覧下さい。
また掃除のしやすさや換気扇の工夫など、オープンキッチンのデメリットをカバーするリフォーム技や、生活スタイルに合わせたコンロ選びについては、下記で詳しくご紹介しています。
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