テクノポップ/アーティストインタヴュー

アーバンギャルド メジャー移籍後インタヴュー(6ページ目)

シングル『ときめきに死す』に続いて、メジャー移籍後初アルバムとなる『メンタルヘルズ』(意味深)を10月26日にリリースするアーバンギャルドのふたりに全曲インタヴュー!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

雨音はシャロンの調べ

ガイド:
7曲目の「雨音はシャロンの調べ」・・・言葉遊び好きな松永さん、もちろん、タイトルは小林麻美がGazeboのカヴァーをした「雨音はショパンの調べ」からでしょう。よこたんの作った曲の方も、当時のヨーロピアンなアンニュイ感を再構築していますね。さすが、自称フランス人。

浜崎:
アーバンのワールドミュージック担当なので。私みたいな人間がパリ症候群に罹ると思ってます。正直今回の2曲の作曲はアーバンで採用されると思っていなかったんです。自分の中でパーソナル寄りなものだったのでいざ制作に入るときに不安だったんですが、メンバーの音が混じるとなんでもアーバンになってしまうんだと自信に繋がった曲です。

松永:
浜崎ソロのテイストがかなり入った鬱曲。暗闇の中で蝋燭を灯して書いたの?(江戸川乱歩みたく)と言わざるをえないAメロの詞が浮かんだとき、クラインの画よりも青いこの曲の総体が視覚できました。そうですね、ちょっと話は変わりますが、僕は常々浜崎容子名義で「雨音はショパンの調べ」をカヴァーしたらいいのではと吹聴して回っているのですが、タイトルが「シャロン」になったことで続いての「ゴーストライター」とのシンクロニシティが生まれてしまいましたね。ポランスキーの名の下に。

ゴーストライター

ガイド:
8曲目の「ゴーストライター」……タイトルからは想像できなかったのですが、これはちょっとGS風でアーバンの懐の深さを改めて再確認いたしました。

浜崎:
GS+ハロウィンっぽいなと個人的に思っています。幽霊の浮遊感と疾走感を感じてもらえたら。

松永:
夜毎タイプライターのキーを叩き、物語を疾走させるゴーストライター、もといゴーストライダーを歌った曲です。マルホランドをドライヴしながら、或いは失われた(LOST)ハイウェイを辿る際にカーステレオから流すことで、夜と呼ばれる暗闇がインク壷をこぼしたものであり、言葉の横溢がもたらした混沌であるという事実を我々は知るでしょう。木を隠すなら森に隠せ。同じく、文字を隠すなら物語に隠せ。
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