競合企業への戦略を考えるゲーム論
ゲーム論はミクロ経済学で重要な役割を果たします。ゲーム論で有名な、囚人のジレンマについてお話ししましょう。少し、複雑ですが、ついてきてください。囚人のジレンマは、共犯を犯した2人の囚人が、取り調べに対してどのような対応を取るべきかを考えます。各々は、相手が犯行を犯したことを自白せず、自らのみが話をすれば収監期間が1年になることを知っています。一方で、2人とも話さなければ、収監期間は3年。自らが口を割らなかったのに、相手が自白すれば10年の収監期間になることがわかっています。お互いが口を割れば5年。
各々にとっての自らへの良い結果は、「相手が話さず、自らだけが話すこと」ですが、相手も同様の状況なことが容易に想像できます。実際、こちらが話そうが、話すまいが、相手は話をすることが常に合理的な判断になります。結果としてお互い話をして、収監期間が5年になることが予想できるというのが囚人のジレンマです。
別の言い方をすれば、各個人ではなく、お互いにとっての最適な解は、お互いが話さない際の収監期間の3年。しかし、合理的な人が隔離されていると、このお互いの最適解は達成できないことを理解することに、囚人のジレンマ問題の大切さがあるのです。そして戦略的な結論は、お互いが連帯すればいいということになるわけです。
こうした状況は、現実のビジネスでよく出てきます。例えば、近所のガソリン価格は全てほとんど同じ価格であることに気付いたことはないでしょうか?ガソリン販売業者にとっては、囚人のジレンマ戦略から想定される価格下げ競争を防ぐために、お互いの価格をチェックしてほぼ同じ価格にすることが最適解になることを知っているのです。ご存知の通り、話し合ってしまうと談合で法律違反になります。こうした企業の戦略的な対応を、ミクロ経済学の枠組みで考えていくのです。
経済学、いかがでしたでしょうか?新たに経済学を勉強し直す気持ちになったでしょうか?最初は難しく感じるかもしれませんが、知っておくと企業戦略を考える上でも非常に有効です。ビジネススクールに入学したら、基礎からしっかりと勉強をしてください。
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