建物は基本性能が大切

建物の資産価値は、ひとことでいうなら「基本性能」になります。建物の耐久性や耐震性、断熱・気密性などの基本性能は、建てた時にほとんど決まってしまって、後で大幅に向上させることができません。

工事中

資産価値の高い建物は何よりも基本性能が優れていることが求められます

間取りや設備機器は、それほど重視しなくてもよさそうです。暮らしやすい間取りは家族構成やライフスタイルによって変化しますし、設備は次々と新しく高性能なものが開発されます。ですから、住み手がリフォームなどで自分に合ったスタイルに変えられるように、可変性の高い住宅であるとか、スケルトン・インフィルになっていることのほうが資産価値を高めることにつながるでしょう。

さらに注意したいポイントは、デザインとメンテナンス性です。デザインの流行は時とともに移り変わっていくものです。建てた時に流行している人気のデザインは、竣工まもなくはよくても、30年後の人気はわかりません。普遍性の高いデザインの建物にしておかなければ、時が経つにつれて陳腐化して、資産価値は下がってしまうでしょう。また、メンテナンスのしやすい構造や素材を選び、適切なタイミングで必要なメンテナンスを行った建物なら、建物本来の性能や美観を維持することができます。メンテナンスをおろそかにすると、資産価値が下がるだけでなく、自らが住むのにも不都合が生じる場合がありますね。

「資産価値」「必要」と「好み」のバランスを考える

ここまで、資産価値のポイントを見てきましたが、注文住宅の場合は、プランニングに「自らが住む」という視点もはずすわけにはいきません。だれもが、家を建てるときには、家族に「必要なこと」や、家族の「好み」を加えて、間取りや設備機器を決め、「わが家」が完成します。

しかし、自分が住むのだから、「好きにすればいい」とか、「どんなデザインでもいい」というわけではありません。自分の好みだけを追求した家や、街並みに全然調和せず、あまりに突出した部分をもつ住宅は、他人に受け入れられるとは限りません。万一、売却したり賃貸に出すことになったときに非常に不利になります。つまり、資産価値が低い家になってしまうわけです。

反対に、売ったり貸したりすることだけを考えて建てた住宅は、自分が好きなところがひとつもない、愛着のわかない住宅になってしまうでしょう。これでは、長く快適に暮らすのはつらい住まいになってしまいますね。

要は、バランスなのです。だれもが評価する「資産価値」を一定以上備え、そのうえで、家族に「必要」な要素」や自分の「好み」がバランスよく組み合わされた家を建てるべきなのです。住宅のプランニングをするときは、自分がこだわりたいところとそうでないところを十分に吟味しましょう。それほどこだわらなくてもよいと思える部分は、資産価値をポイントに決めていけば、バランスの取れた住宅になるはずです。
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