彼には、安全日だと伝えておこうかな……
1年以上前の女性誌『BAILA (バイラ)』の2010年2月号に、私が衝撃を受けた特集がありました。それは、「出会ってスグ妊娠したい!」というものです。出会った男性に「今日は、安全日よ」と、避妊をせずに、戦略的にデキ婚狙いの既成事実を作った女性を肯定的に紹介していました。
相手の男性にも、結婚の意思や、子供を持つこと、その時期について、ある程度同意があれば「できちゃった結婚」という形になるかもしれません。しかし、そうならない場合を想定して、本当はシングルマザーになる覚悟も必要な、一大決心となるはずです。男性誌であれば、「男を騙して、結婚・出産に持ち込む“悪女”」と紹介されるのかもしれません。このような強硬手段とも思われかねない事例を見て、今、未婚女性は、結婚や出産について、本当に切羽詰まらせるような状況に追いやられているのだと思いました。
子育てに大事なのは、結婚ではない
多くの人は、結婚の最大の利点を「子供や家族を持つことができること」と考えています。結婚すれば、子どもを産み育てることに対する社会的な体裁が整い、子どもが育てやすい環境を手に入れられるかのように感じます。しかし、結婚さえすれば安心して、産み育てられるのでしょうか?残念ながら、それは事実ではありません。実際には、「結婚していても、安心して子どもを育てられない」時代になっています。結論を先に言うと、本当に子育てに必要なのは、結婚の有無よりも経済力の確保と、保育所などの社会的な子育てサポートなのです。そして、私たちの多くが「結婚していないと子どもが育てられない」と信じ込まされているのは、日本の法律が、結婚していない男女の間に生まれた子どもと、その親を差別し、ペナルティを与えていることが影響しています。
「結婚していないと子どもが育てられない」と私たちに信じさせたい人達が、意図的に幻想を作っているために、内容は、より巧妙かつ複雑です。少し長くなりますが、数回に分けて、最初に「結婚していても、安心して子どもを育てられない」現実を解説し、次に「結婚していないと子どもが育てられない」と信じ込ませる法律について、順を追って説明していきます。