2世帯住宅を支援する制度
自治体には、2世帯住宅を支援するさまざまな制度がある
待機児童や高齢者の孤独死が社会問題になっていますが、子育てサポートや高齢者の介護支援などといった、地域の課題を解決するために、2世帯住宅の支援制度を採用する自治体が増えつつあります。ここでは、2世帯住宅を支援する自治体の制度を紹介します。
■千葉市の三世代同居等支援事業
千葉市では、高齢者の孤立防止と家族の絆の再生を目的として、三世代家族の同居などに必要な費用の一部を助成しています。
助成を受けるための要件は、いくつかあります。
(1)今後、「親と子と孫」を基本とする三世代の家族が同居または近隣(1km以内)に居住すること(すでに同居または近隣に居住している場合は、助成の対象になりません)
(2)親が65歳以上で1年以上千葉市に住んでいること
(3)孫が18歳未満であること
(4)住民税及び固定資産税を滞納していないこと
(5)千葉市三世代同居等支援事業の助成を過去に受けたことのないこと
(6)この事業の趣旨を理解し、協力して親(高齢者)に対する必要な支援(介護や見守り等)を行うことができること
(7)同居または近隣に居住している状態が、今後3年以上継続する見込みであること
助成の対象となる費用と金額は、以下の通りです。
(1)持ち家の場合、新築、建て替え、増築(10平米超の増築で居室1室が増える場合)、住宅購入にかかる費用
(2)貸家の場合、賃貸借契約に要する費用(敷金、礼金、仲介手数料)
(3)共通して、転居にかかる引越し費用
上記の「(1)または(2)」と(3)の合計金額の2分の1で、上限金額は50万円。(1)について、市内の業者と契約して施工した場合、助成限度額が100万円になります。
さらに、市内に住む高齢者と同居または近隣に居住するために市外から転入する場合は、2年目と3年目に、
(1)持ち家の場合、固定資産税・都市計画税相当額
(2)1年間の家賃相当額
上記について、15万円を限度に助成されます。
この助成制度をフルに活用すると最高130万円の助成額とあります。千葉市内に両親が住み、実際に三世代同居、三世代近居を検討している人は、知っておきたい制度です。
■その他の自治体
千葉市のように大々的な助成事業ではありませんが、その他の自治体でも、耐震改修、バリアフリー改修、エコ改修などのリフォーム関連補助金の中に、2世帯住宅リフォームを補助金の対象としている場合があります。お住まいの自治体の補助制度をぜひ一度、確認してみてください。
自分たちのライフプランに合った住まいの形態を考えよう!
今回は、2世帯住宅と家計というテーマで記事を書きました。お金という視点で捉えると、ソンかトクかという発想になってしまいがちです。けれども、「相続税対策になるから」、「助成金があるから」という理由で2世帯住宅にしよう、というのでは、本末転倒です。
千葉市の制度趣旨にもあるように、あくまでも「家族の絆の再生」が基本です。自分と家族、そして両親のことも考えながら、自分たちがどのようなライフプランを描くのか? 共働きを続ける場合、育児・介護をどうするのか? それに合わせて住まいをどのようにするか、という中での選択肢が2世帯住宅というのであれば、税金や助成金などのお得な制度を積極的に活用していけば良いのだと思います。
少子高齢化時代のライフプラン、住まいと家計という視点の中で、3世代協力家族について考えてみましょう。
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