蕎麦のエンターテインメント空間

せいろうそば

せいろうそば

緑が美しい店先の敷石を歩き店内へ入ると、給仕の女性たちの「いらっしゃいぃ~~~」という独特の発音でのお出迎えを受け、席へ案内されます。テーブル、お座敷、どこに座っても情緒を感じることができる味わい深い世界が拡がります。

合鴨に長ネギを鴨の脂で炒めた「あいやき」

合鴨と長ネギを鴨の脂で炒めた「あいやき」

会計を行う右手奥の帳場も、古き良き時代を思わせる風情。注文が入ると「せいろう~いちまい~」と店内に口上が響き渡ります。視覚のみならず、聴覚でも楽しめるなかなか類を見ない、まさに“蕎麦のエンターテインメント空間”です。

昼と夜の間に休憩を挟む老舗店が多い中、同店は通しでの営業。ランチ専用のメニューはありませんが、土日も営業を行い年末年始とお盆を除いて年中無休です。ランチタイムを逃してしまった……なんて場合にも重宝しますね。


 

伝統の青みがかった蕎麦と濃い口の汁

蕎麦粉10に対してつなぎ1の「外一そば」

蕎麦粉10に対してつなぎ1の「外一そば」

この日はテーブル席で、人気のある芝海老のかき揚げ「天たね」(1400円)と、「せいろう」(700円)を1枚オーダー。同店では、「せいろ」ではなく「せいろう」です。

深い緑色が特徴的な蕎麦は、創業者が新蕎麦が出る前の夏場のヒネ(旧蕎麦粉)の時期に、蕎麦もやしの青汁を打ち込んで清涼感と新蕎麦の青みを出そうと工夫したもの。蕎麦粉10に対してつなぎの小麦粉1の、いわゆる「外一そば」です。濃い目で辛口の汁は私好み。蕎麦を少しだけ付けて、ズルズルっと豪快にいただきます。

芝海老を高温の濃口胡麻油で揚げた「天たね」

芝海老を高温の濃口胡麻油で揚げた「天たね」

同店は、季節の蕎麦やおつまみ類も充実しています。6月から9月にかけては「冷やし茄子そば」なども人気です。これからの季節だと、「松竹そば」の登場も楽しみなところ。土日など仕事がない日には、鴨ネギの「あいやき」(1400円)などのおつまみで2、3杯お酒を飲んで、季節の蕎麦〆、なんていうのも“粋”なのではないでしょうか。

老舗店の蕎麦は、“盛りが弱い(=量が少ない)”のも、ほぼ共通した特徴。こちらの盛りも“弱め”とあり、注文時に「せいろう7枚ください」という3人家族の姿も。

「蕎麦屋で満腹なんて無粋だ」などという江戸っ子らしさ!?みたいなものに少し憧れのある私は、「まだ食べられるなぁ……」との思いに後ろ髪を引かれつつ、「……ありがとう存じます」とこれまた同店独特の声を背中に受けながら同店を後にしました。

都会の街並みの中で目を引く同店

都会の街並みの中で目を引く同店

有名な神社・仏閣には拝観料があります。例えば1500円のランチ代のうち、料理に1000円、(神社・仏閣ではないですが)蕎麦の聖地の拝観料に500円、そんな考え方ができる方には堪らなく、また相応しい一店。

「君が代」が誕生した年に生まれ、五感で楽しめる店でランチはいかがでしょうか?


■かんだやぶそば
住所:東京都千代田区神田淡路町2-10
TEL:03-3251-0287
営業時間:11:30~20:00
定休日:無休(1月・8月休み有り)
地図:Yahoo! 地図情報

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