2人の住まい、どうしようか?
【記事のインデックス】
少子高齢化時代に再注目される3世代同居……1P目
3世代同居は、やっぱり小数派?……2P目
少子高齢化時代の住まいと家計~3世代協力家族……3P目
超少子高齢化時代に再注目される3世代同居家族
最近、共働きからの住まいに関する相談をしていると、3世代同居に関心を持つ人が増えてきているように感じます。3世代同居とは両親とその子と孫の3世代で同居する家族のことをいいます。典型的な例として、漫画「サザエさん」の磯野家が挙げられます。波平・フネ夫婦(親の世代)とマスオ・サザエ夫婦(子の世代)、そしてその子どものタラちゃん(孫の世代)の3世代が同居しています。ただ、「磯野家のような大家族で住んでいる世帯は、あまり見かけないなぁ……」と感じる方も多いでしょう。実際に、昭和から平成の時代にかけて、核家族化や家計の独立志向が進み、3世代同居世帯の数は減少傾向にあります。ところが最近、2世帯住宅に代表されるように、3世代同居について見直される動きがあります。この背景について考えてみると、4点挙げられます。
■現役世代の働き方として共働きが安心
終身雇用、年功序列賃金の崩壊という雇用環境の変化の中で、結婚し、家族を形成し、子どもを育て、次の世代に引き継ぐというライフモデルを実現するためには、収入の安定面で考えると共働きが前提になるという点です。超少子高齢化という日本では、今後、税金や社会保険料などの負担増加は必須で、収入は上がっても可処分所得は思ったよりも伸びないと予想されるからです。また、若い世代ほど、将来の年金に対する不信感も強いです。そんな中、将来のライフプランを実現するために共働きを選択する夫婦が増えているという点です。
■子育てを祖父母と父母で行う「協育」
共働きを継続するために最初の関門となるのが、育児問題です。育児休業制度が法制化されて、育児休業の取得率もかなり上がってきましたが、仮に育児休業を取得しても、復職後の子育て負担は、共働き世帯に重くのしかかります。「待機児童」に代表されるように、保育園に入所できなかったり、希望通りの時間帯に利用できる保育サービスがなかったりするなどの理由で、会社を辞めざるを得ないケースもあります。
3世代同居のメリットとして、子どもが小さい頃の育児について親の世代の協力を得られるという点です。子どもが熱を出して保育園に通所できない時に、親に孫の面倒を見てもらったり、仕事で帰りが遅くなる時は、保育園の迎えと孫の夕飯を準備してもらったりするなど、必要に応じて、協力して孫を育てる「協育」体制を作ることができます。
■今後予想される両親の介護問題
若い世代の共働きにとって育児問題が共働き維持のための関門であるのと同様に、40代以降の共働きになると、親の介護問題が、共働きを継続するための次の関門となります。高齢者の人口が急速に増えるのにともない、公的な介護施設である特別養護老人ホームでは、「待機老人問題」が発生しています。民間の介護施設も需要の拡大とともに増加していますが、団塊世代の高齢化にともない、今後不足することが予想されています。
介護休業制度も制度としては整いつつありますが、育児休業制度と違い、利用率は圧倒的に低いのが現状です。育児休業と異なるのは、育児の場合は期間が限定されるのに対し、介護の場合はどのくらいの期間になるのか不明である点です。今後は、団塊世代の高齢化とともに、介護を理由に会社を辞めざるを得ない人も増えてくることが予想されます。
3世代同居のメリットとして、親が目の届くところに住んでいるという安心感があります。また、子どもがある程度大きくなると、祖父母の介護を直接することはできなくても、何かあったときには手伝ってくれるという安心感と負担軽減にもつながります。もちろん、介護を全て家族で行うということではなく、介護サービスを最大限活用しながら、家族で介護を行うということが前提になります。
■一人っ子同士の結婚後が増えて両親の土地の有効活用
少子化にともなって、一人っ子が増えてきました。両親の家が老朽化して建て替えという話が出た時に、従前であれば、子どもの世代に兄弟姉妹がいると、親子で2世帯住宅を建てることは難しかったのです。それは、将来の相続のことを考えると、親所有の土地の上に、親と兄弟姉妹の1人が共有する建物が建つということになり、親の立場でも子どもの立場で考えても、躊躇せざるを得なかったからです。
ところが、一人っ子ということであれば、親から2世帯住宅の話もしやすいし、子どもとしても、マンションや戸建て住宅を単独で購入するよりも、費用負担が少なくてすむので、メリットがあります。
>>3世代同居が注目されているものの、やっぱり人気はない!?